toggle
2018-05-23

西白井にある老舗コーヒー豆販売店「珈琲の遠山」は、スペシャルティコーヒー販売の先駆だった

先日、西白井のカフェ「Y’s cafe」を取材した時に飲んだブレンドコーヒー「ローランサン」が、とても美味しくて感動してしまった私。

↓Y’s cafe(ワイズカフェ)の記事はこちら。

西白井にある『安全地帯』ドラムの田中さんが経営する「Y’s cafe (ワイズカフェ)」は珈琲、料理全てのクオリティが高かった

家でも飲みたいと思い、お店のオーナーであり安全地帯のドラムを務める田中さんに聞いたところ、豆は「珈琲の遠山」さんから仕入れていると聞きお店に行ってみると、コーヒー豆の種類が本当に多くて(50種類くらい)びっくりしました。しかもお値段がリーズナブル!早速数種類の豆を買って家で飲んでみるとどれもとても美味しい

聞くと創業30年以上の老舗店だそうで、これは色々とお話を聞きたいなと思い取材をさせていただくことにしました。

 

場所

西白井駅から手賀沼方面へ向かう風間街道沿いにお店があります。周囲は住宅やところどころに畑がひろがるのどかな場所にあります。

西白井方面から

手賀沼方面から

この看板が目印です

「珈琲の遠山」店舗外観

 

店内

店内はコーヒー豆以外にも食品や珈琲器具、雑貨などが並んでいて、見ているだけでも楽しいです。

コーヒー豆販売コーナー

ずらりと並ぶ豊富な種類のコーヒー豆

まだまだあります

豆の種類はとにかく豊富です。それぞれ酸味、苦味、コクなどの味に関する説明が書いてあるので好みを見つけやすいです。わからなければお店の人に味の好みなどを伝えて選んでもらうのもいいですね。

お店に行くとわかるのですが、お客さんがひっきりなしに入れ替わってみなさん豆を買っていきます。好みの銘柄が決まっている人も多いみたいで、店頭に並んでいる大容量の袋をみなさんバンバン買っていました。これなら豆の回転も早いので新鮮な豆が買える訳ですね。

食品も豊富にあります。冷凍食品や乾物など所狭しと並んでいます

ドリッパー

コーヒーメーカー各種、エスプレッソメーカー

コーヒーミル

セール品はとてもお得です

生産国の工芸品もあります

マグカップも豊富です

コーヒー豆以外にも食品やお菓子などもたくさんあります。

また珈琲関連器具(ドリッパー、ミル、マシーン、カップetc…)がすごいたくさんの種類があります。しかもセール品になると、ネットで買うよりも安い価格で販売しています。

私も思わず欲しかった電動ミル(定価の半額で買えました!)を購入しました。

 

お店のこと

お店のことを社長の遠山克利さんに聞いてみました。

社長の遠山克利さん

珈琲の遠山は1979年から白井でコーヒー豆の販売を始めました。当初は宅配専門でしたが、1984年に法人化し西白井の大松交差点の側にOPENさせました。

遠山さんは独立する前は、コーヒー豆の製造卸の会社(日東珈琲)で16年間働きました。銀座にあるカフェパウリスタの初代店長も務め、読売文化センターのコーヒー教室で20年間講師をしコーヒー文化の普及に努めてきました。

店舗横ではコーヒー豆の栽培もしている。珈琲教室などで教えるときに使うのだそうです

今でいうサードウェーブの前の前、ファーストウェーブの時代からコーヒー業界で働いてきた根っからの珈琲人でもあります。

当時は取り扱うコーヒー豆の品種や産地、グレードは今のように細かく分けれれておらず、どんな豆でも焼けば売れる大量消費の時代だったそうです。

しかし遠山さんは米と同じで、コーヒーも農作物であり、産地によって味の違いがあることを知っていました。今でいう“スペシャルティコーヒー”というもので産地指定された品質の高い美味しいコーヒー豆です。しかしそのような豆は値段も高く、流通させるにはリスクが伴うため、勤めていたいた会社では企画は出すも扱うことはできませんでした。

産地指定の豆を販売したい。その強い思いから大手の会社でできないことをやろうと独立を決心しました。

 

アイデアと工夫から生まれた500円コーヒー

日東珈琲時代に築いた商社との関係もあり、独立してからも豆を仕入れるルートはありましたが、産地指定のコーヒー豆を仕入れるには相当量(1コンテナ)を入れなければならず、資金的にもそれができる余裕はありませんでした。

そこで遠山さんが考えたのは、買いたい産地の豆+周辺地域の豆を同梱して1コンテナで入れるアイデアを思いつきました。周辺地域の豆でもブランド化していないだけで品質は高いので一般的に流通している豆よりは格段に美味しい豆でした。

それらを安く仕入れて同梱して運ぶことで、特定産地のスペシャルティコーヒーを少量で仕入れることが可能になりました。

コーヒー豆輸送用の麻袋。TCC(遠山珈琲)のマークが刻印されている

さて仕入れたはいいものの、1コンテナはかなりの量です。周辺地域の大量の豆をどうさばいていくか?考えたときに5ドル(500g)コーヒーを思いつきました。

利益は度外視の金額設定でしたが、周辺地域の美味しい豆だったので5ドルコーヒーを買って飲んだ人は皆びっくりしました。「遠山の珈琲豆は安くて美味しいぞ!」と話題になり人が集まるようになったのです。為替相場の激しい変動もあって今は500円になりました。

 

一店舗主義を貫く

こうして「珈琲の遠山」は豆の販売量も増えていき、1992年に現在の場所に移転し、焙煎工場と販売店が一体となった店舗を建てました。

焙煎機はメインになるのが30kgの直火焙煎機が1台。他に注文を受けて焙煎するための3kgの小型焙煎機が1台。また一般の方でその場で焙煎して欲しいという人用に熱風式焙煎機が2台あります。

30kgの大型直火焙煎機。現在は息子さんが焙煎を担当しているそうです

注文焙煎用の3kg小型焙煎機。

熱風式焙煎機。5~10分で焙煎できる

コーヒー豆はもちろんですが、珈琲関連器具も各種メーカーと直接取引があるので安く販売できるのだそうです。

築き上げてきた商社や、メーカー、産地との信頼関係。多店舗展開をしようと思えばできたのだが遠山さんは一店舗にこだわります。

「直火焙煎にこだわっているので、焙煎には熟練の職人技が必要です。教わってすぐにできるものではないですからね。大手企業と同じ土俵に立っても仕方ないので、うちはうちの規模でしかできないことをやっていきたいです。そのためにはここに来なければ買えないものを作って売る。そしてファンを増やしていく。だから一店舗がちょうどいいんです」と語る遠山さん。

確かに取材時もお客さんがひっきりなしに買いに来ていました。ネット通販でなんでも手に入る今だからこそ、そこに行かないと買えないものは逆に強い

創業から間も無く40年を迎える老舗珈琲豆販売店。続く歴史には理由がある訳です。

まだ行ったことがないという人は、是非一度行ってみてはいかがでしょうか?

きっとあなた好みの美味しいコーヒーに巡り会えると思いますよ。

 

珈琲の遠山

住所/白井市根1889-6

TEL/047-491-8440

営業時間/10:00〜19:00

定休日/ホームページにて公開

ホームページ http://www.tcc-coffee.com/

↓地図はこちら

関連記事