自然のロケーションと心地良いサービスと絶品イタリアンで心が満たされる「らんどね空と海」
読者の方から情報提供がありました。
<情報>
いつも楽しく拝見しています。船橋市神保町の須賀神社の前の道を入ったところに飲食店を発見いたしました。福祉施設が運営するレストランのようで、アトリエも併設しているようです。レポ期待してます。
いーともさん情報提供ありがとうございます。
皆さんも新店、閉店、気になるお店、オススメのお店、街の疑問などなどありましたら「情報提供フォーム」よりどしどしお寄せください!
神保町というとアンデルセン公園の方ですね。あちら方面に行くことは少ないので情報助かります。
早速取材をさせていただくことにしました。お店の名前はらんどね空と海です。
場所
三咲方面から県道288号線をアンデルセン公園方面へ。須賀神社前の交差点を左折して200mほど行った右手にあります。
店内
お店に入ると天井がとても高くて開放的。大きく開いた窓からは光が差し込み、外のテラスや自然の景色が見えてロケーションも抜群。白を基調にテーブルや床にふんだんに木が使われていて木のぬくもりを感じることができます。
メニュー
ランチメニューはランチコース(要予約制)が3種類、ピッザコース、らんどねコース、空と海コースという構成。
予約なしでも利用できる月曜日〜水曜日のカフェメニューはカレーセット、デザートセットの2種類とドリンクメニューという感じ。
実食と思いきや・・・
今日はシェフの藤田さんオススメの「らんどねコース」をいただくことに。
しかしここでアクシデントが!
「ピザ種・・・無くなっちゃった」
「窯焼きピザが自慢なのに、ピザが出せないなんて・・・(笑)すいませんパスタでもいいですか?というかパスタも美味しいから是非食べてください!」と藤田さん。周りの皆も思わず吹き出し、私も一緒に笑ってしまいました。
らんどねコース(パスタver)実食
というわけで前菜からいただきます。
この日の前菜の内容は、べサン(ひよこ豆の粉)のパンケーキ、マントヴァーノ(サラミ)と完熟いちご、百合根のビアンコマンジャーレ、大豆とビーツのフムス、ポロ葱と蜜柑の煮込みカシューナッツ入り、キノコとアーモンドのロースト全6種でした。
スープはパッパ(トスカーナ州の料理)で、硬くなったパンをトマトで煮込んだポタージュのようなスープでした。
野菜の美味しさもさることながら、ドレッシングめちゃウマです。お持ち帰りも販売していて人気商品なのだそうです。
いよいよパスタがやってきました。今回は「じゃがいもと大葉のジェノベーゼ」をチョイスしました。
通常ジェノベーゼはバジルとチーズとナッツで作りますが、らんどねでは大葉と白味噌と練りゴマで作ります。
大葉の爽やかな香りと味噌と胡麻のコクがパルミジャーノチーズ、モッツアレラチーズ、ナッツと絡んで絶妙です!コクがあるのに後味がとても爽やかなのが印象的でした。
デザートはカカオ豆を剥く所から作っているというビーントゥバーチョコレート、抹茶のプリン、豆乳ライスミルク、自家製グラノラクッキー、ビーントゥバーチョコレートを使ったブラウニーという構成。
ソースのようなものは和三盆モラセスといって、和三盆を作るときにできる糖蜜と呼ばれるもの。カラメルのような黒蜜のようななんともいえない上品な風味です。持ち帰ってアイスにかけて食べたいと密かに思いましたが、こちらはお土産販売ありませんでした(残念)。
ビーントゥバーチョコレートはとても濃くてビターな感じ。カカオの風味を存分に感じることができます。お土産販売もしていて人気だそうです。
コーヒーは馬込沢駅前にある自家焙煎豆販売店「magome coffee project」の豆を使用しています。味はマイルド(ブラジル)、フルーティー(エチオピア)、ビター(マンデリン)から選べます。
ビターを選びましたが、雑味がなくとても上手にドリップされていて美味しかったです。
お店のこと
シェフの藤田さんにお話を伺いました。
らんどね空と海は2017年6月にオープンして間も無く2年になります。
空と海は理事長の大野待子さんと施設長の奥野 満さんが障害を持った人たちの可能性を「紙漉き」を通じて伸ばしたいと紙漉きの作業所を立ち上げたのが最初でした。その後、陶芸や木工を行う木工部門の作業所を作り、展示するアトリエが現在の場所に作られました。
藤田さんは大学を卒業後プロのダンサーとして大手プロダクションとの契約もしてデビューしました。3年ほどダンサーをしましたが膝の半月板を損傷して踊れなくなってしまいます。
リハビリをすれば治ると言われ、たまたま親戚がイタリアにいたので留学し現地でリハビリをします。その際にイタリアの食文化に魅了され、本格的にイタリア料理を勉強しようと現地のレストランで働き修行をしました。
帰国後は一時期レストランで勤めますが、シェフよりも料理家としての活動をしていくことを決めレストランをやめます。
「ダンサーの仕事をしていた時にレッスンに来ていた子供達の弁当がお菓子だったんです。これはその後もずっと忘れられない出来事でした。レストランには子供が来ることは少ないけれど、料理家なら家庭にレシピを提案できる立場だったから料理家になることにしました」と語る藤田さん。
そして料理のことをもっと突き詰めていくためには、食材のことを知りたいと考え畑を始めます。そこで野菜を育て、自然農法、有機農法など試行錯誤しながら学んでゆきます。
畑では野菜の他に和綿も栽培していて、糸を紡ぐまではやっていましたがその先の加工まではやっていませんでした。そんな時に畑から10分ほどの場所(今の場所)にアトリエ空と海が建ち、施設では機織りを行なっていたので交流を重ねていきます。
施設の周りには飲食店がなく、いつもお弁当を食べていました。施設に通う人やその家族に美味しい料理を提供するレストランを作りたい、藤田さんと奥野さんの思いが一致し「らんどね空と海」がオープンしたという訳です。
働いている皆が主役
福祉施設が運営するレストランは他にもありますが、働く人はどうしても裏方に回ることが多かったりします。しかしここではホールの仕事、配膳など皆が表に立ってサービスをしていました。
そして本当に印象的だったのはスタッフの皆が連携して動いていたことです。誰かが困っていれば誰かが手を差し伸べる。それがとっても自然に行われているなあと見ていて思いました。
働いているスタッフが皆とっても活き活きと、何より笑顔で楽しそうに働いているのを見ると自然とつられて自分も笑顔になっていました。
業界的に人手不足で長時間労働、今や飲食業界を目指す人も少なくなっていると藤田さんは言います。でも料理人がいなくなれば食は衰退の一歩をたどるばかりです。
「らんどね空と海はあくまでも福祉施設としてレストランという形式をとっているので、日常作業をする中でできたものを食べてもらうというのが根幹になっています。これからの時代はこうした食と福祉の連携というのも、理想的な循環が生まれる一つのモデルとして必要なのではないでしょうか」と語る藤田さん。
働き方改革と叫ばれる昨今、利益を追い求めて疲弊するだけではない持続可能な仕事とはこういうことなのかもしれない。今回色々と思うことがありました。
まるでリゾート地のような自然の素晴らしいロケーションの中で、活き活きと働いているスタッフの皆さんのサービスを受け、美味しい食事を食べる。心もお腹も満たされた1日でした。
まだ行ったことがないという人は是非一度訪ねて見てはいかがでしょうか?
らんどね空と海
住所/船橋市神保町177-8
TEL/047-401-3285
営業時間/木・金・土(レストラン営業)*コース料理あり
11:30〜16:30*ランチ要予約
月・火・水(カフェ営業)*スパイスカレー、デザート、ドリンクのみ
12:30〜16:30
(共に食事LO.14:00、ドリンクLO.16:00)
定休日/日曜
↓地図はこちら
【周辺の人気記事】
■アンデルセン公園の隠れた人気グルメ「アンデルセンドッグ」知ってます?
■船橋と鎌ヶ谷に2店舗。話題のからあげ専門店「ふなから」を実食レポ