伝統と進化!船橋が誇る老舗製麺所「山田食品」~前編:製麺工場見学~
皆さんお元気ですか?。
自称日本一ラーメンを食べているアスリート(自分調べ)こと一場治之進です。
イチバは・・・スクワット180㎏が重く感じるぐらいの低調です。こんな日はラーメンを食べて元気出して、その元気を使って2軒目に向かうに限ります。
さて・・・・前回ではや10回目を向かえたと言う事で、今回はちょっと趣向を変えて前編・後編に分けた2本立てでお送りしたいと思います。つまり番外編ですよ番・外・編!!
どうぞ皆さん最後までお付き合い下さい。
事件発生!
ここまで、10軒のラーメン屋さんを取材して気づいた事があります。
それは・・・・お店でスープの作り方は取材しても、メーカーが作る麺の事を全く取材出来ていない!!!これは事件ですよ事件!!
という訳で今回は製麺所を取材したいと編集長にリクエストを出したところ、快く取材をOKしてくれた製麺所がありました。こんなイチバのワガママに付き合ってくれるなんて、感謝です感謝。
その製麺所は昭和3年創業と言う千葉県と言わず全国的にも屈指の老舗「山田食品株式会社(以下:山田食品)」さんです!!ちなみにこのレポでは「デリカフーズ ハマモト(レポ5)」や「4代目 松屋食堂(レポ9)」が山田食品の麺を使用していました。また、ラーメン評論家の石山勇人氏との共同開発の「香麺」と言う特徴ある食感の麺も看板商品として知られています。
場所
住所は船橋市ではありますが、船橋市・八千代市・千葉市花見川区・習志野市の境に近い位置に存在します。
最寄り駅も習志野駅・薬円台駅・実籾駅・北習志野駅・京成大久保駅がそれぞれ2.5km~3kmの位置にある中間地点になります。
付近には工場が多く立ち並んでいます。そんな立地にあるのであまり本社の前を通った人は少ないかと思いますが、美味しそうなラーメンのイラストが入った「山田食品」のトラックを街中で見かけた人は多いのではないでしょうか。
それに、場所の話ではありませんが「香麺」の木製の看板をラーメン屋で見かける事も多くなりました。
今回は初の製麺所の突撃レポなので、手が震えながら本社の中に入ります。
社内へ
「製麺所」と言うと、どうしても年季の入ったイメージが先行していましたが、山田食品さんは所謂「オフィス」と言った様な近代的で清潔感のある内観です。ちなみに、ドア一枚開けて靴を入れようとした所に「香麺」で共同開発して各メディアに出ている「ラーメン王子」こと「石山勇人」氏の名前がありテンションと血圧上がりまくりです。
オフィス内は事務室や製造のスタッフの休憩室と試食する為のキッチンなどがあり、開放的で明るい雰囲気でした。
ちなみに、個人的な感想になってしまいますが社内の役職者とスタッフの距離感が近くフレンドリーな場面が多く見られた所が一社会人としても魅力を感じました。
会議室で出迎えてくれたのは笹川専務。
いつもと違う雰囲気にイチバは緊張しまくりです。
工場見学
まずは笹川専務が工場内の製造室を案内してくれる事に。
着慣れない白衣を渡されて、完全防備し製造室に向かいます。
製造室に入る前は白衣・マスク・帽子着用で、石鹸消毒・水での手洗い・アルコール消毒を順次行わないと部屋に入るドアが開きません。徹底しています。
その後にエアシャワーで塵埃などを取り除いてから、ようやく製造室に入れます。
笹川専務は「食品を扱うから」と当然の様にお話されますが、部屋に入る前から事故や異物混入を防ぐ徹底した管理体制を感じます。
ちなみに普段は1日で2.5万玉程の生産を行うそうですが、本日の水曜などは定休日前なので約2倍の5万玉程を生産するそうです。
工場内へ
皆さんが・・と言うより人一倍・・いや四倍は麺を食べるイチバが言うのは何ですが、普段食べている麺がどうやって作られているか考えた事がありますか??イチバは知っています!!・・今回のレポのお蔭で。
ざっくりで言うと①ミキシング ②圧延 ③熟成(麺帯熟成) ④連続圧延 ⑤包装・梱包・冷蔵(熟成)に分かれます。
↓まずは動画で全体の流れを見てみて下さい。
ミキシング→圧延→熟成
工程①は「ミキシング」です。
こちらは小麦粉とカン水などを混ぜる工程になります。笹川さん曰く「とにかく小麦粉の質が味を決めるんだよ」と、言われるように小麦の質や配合などが麺の味を決めるそうです。それだけに付近には多くの種類や産地の小麦粉の袋が置いてあります。
ちなみに山田食品と石山氏の共同開発の麺「香麺」は北海道産の小麦(詳しくは企業秘密だそうです)を使用しているそうです。
工程②「圧延」です。①のミキシングで「そぼろ」状になった生地を圧延ローラーに通して帯状に伸ばし(麺帯)、筒状に巻き上げます。この時点で麺の生地らしさが出てきました。
生地によって微妙に色が違うのは材料や加水率の違いなのでしょうか。複数の筒状の生地が置いてありました。
工程③熟成。この筒状の生地(麺帯)をビニールに入れて暫く置くことで熟成させます。一定時間寝かせる事により滑らかでコシのある麺になるそうです。
連続圧延→包装・梱包・冷蔵(熟成)
工程④「連続圧延」は熟成を行った麺帯を最終的な麺の厚みにする為に、太さの違う圧延ロールで徐々に薄く延ばしていきます。
工程⑤「包装・梱包・冷蔵」で、仕上げになります。④「連続圧延」の後に切り出された麺線を自動丸め機で麺玉に丸め、自動梱包機で袋詰めした後、出荷用の箱に詰めて冷蔵庫で貯蔵・熟成します(一部手作業で行う場合もあるそうです)
ちなみに熟成後に麺を切る時の刃によって麺の太さが変わります。これを「切刃」と言い、その刃には「番手」と呼ばれる番号がついています(※切刃番手)。
説明しよう!「切刃番手」とは製麺時に麺帯か麺から切り出す際に太さを決める刃(切刃)の種類だ。刃にはそれぞれ「番手」と呼ばれる番号があり、30㎜÷番手の数字=麺の太さ(㎜)となる。なので、番手の数字が大きくなると細麺となる。ちなみにお店で食べている時に友達に切刃の話をするとかなりの確率でドン引きされるので注意しよう。イチバは一度で良いから1番の切刃番手の「かじる麺」を作ってみたい密かな野望がある。
冷蔵と輸送・・・お店に渡すまで品質に責任を持つ
冷蔵室には多くの麺箱が詰まれています。麺の太さや種類などが書いてあり、熟成・保管・出荷待ちとなっています。ちなみに保管の温度は10~12℃程でした。
これは熟成と共に味を落とさない保管として重要な工程だそうです。
高温多湿の場所に保管していると麺が透明になり味や品質の劣化が見られるために、出来上がった麺は保管から輸送までの間は温度などの環境を変えない様に細心の注意を払うそうです。それだけに笹川専務は「お店でも麺の保管環境を考えて欲しい」と言われます。
ちなみに山田食品では卵を粉末でなく生卵を使用・添加物なども極力減らす様に心掛けている為に麺の日持ちがしないので在庫は1週間で廃棄をするそうです。
ちなみに全粒粉使用の「香麺」などはさらに温度の低い氷温庫で保管されます。
「氷温庫」の温度はなんと0℃!氷上のF1「ボブスレー」選手のイチバもさすがに堪えます。
ここまで徹底した温度管理を行っていますが、これで終わりではありません。お店に運ぶ輸送時も保管時と同じ環境にする事で、お店に商品が到着した時点まで味を落とさない様にするそうです。この徹底した衛生・品質管理が山田食品の特徴と言えるでしょう。
笹川専務の事
さて無事に工場見学も終わり、事務所で笹川専務にお話をお伺いしました。
笹川専務は元々は誰もが知っている大企業の調理師として和・洋・中の全てで腕を振るうスペシャリストでした。約8年前に山田食品に入りました。現在は意欲的にラーメンを食べ歩くそうです。
まさに麺を作る・料理を作る・食べるの猛者ですね。
調理師と言う経歴からか、取引先の厨房内を訪れると麺の保管について気になる事が多いそうです。確かに、これまでの一連の流れや徹底した品質管理を見るとお客さんの口に入るその瞬間まで最高の品質を維持したいと思うのは分かる気がします。
「麺は店の保管状況が大切なんですよ。古くて保存状態が悪いと(麺が)透明になってしまうんだ。だから冷蔵庫に入れて保管状況を考えて欲しい。」と語る笹川さん。
「山田食品」と言えば「石山勇人」氏との共同開発の「香麺」が勢いありますが、あの大きな看板は笹川さん発信だったとか。
「アレ(看板)は他の製麺所もやっているけど、大きいと目立つでしょ(笑)時代の流れでね・・・昔は高齢の方達がラーメン屋をやっていたけど、今は若い人達がお店やってきたからね」と。確かに目立ちます。
「香麺」は口の中で反発するような独特の食感なのですが、多加水麺かと思いきや加水率を聞くと37~8%(加水率30~35%が平均的で、40%を越えると多加水麺)と言う事で加水率が際立って多い訳ではなさそうです。やはり「秘密」と言っていた小麦粉の配合が食感を決めているのでしょうか。
ちなみに「香麺」は元々は「鶏白湯」(※レポ5 ハマモト参照)に合わせる為に作られたそうですが、実際にお店では色々なスープに合わせられています。
山田食品の今
山田食品は現在1000軒程のラーメン屋(全体の取引先の7割程)と取引をしているそうです。それ以外には給食やホテル(全体の取引先の3割程)などが挙げられます。
北は青森から南は沖縄まで。「何故だか北海道はないんだよ」と言われますが、山田食品の麺がラーメン王国北海道で食べられる日もいつか来そうな気がします。
日夜、営業部隊が取引先の開拓を続けているそうです。と、言うのもラーメン業界は年間4,000軒程の開店・閉店と言う入れ替えがある為に新規の営業は不可欠だそうです。
また、東京五輪を見越してハラール認証(※世界に200以上あるムスリムの認証でポークエキス・ゼラチン・豚脂などハラールではない成分を含むものを使わない)を取得するなど、老舗とは言え現状維持だけでなく新しいニーズにも柔軟に応える姿勢が見えます。
工場見学を終えて話を聞いているうちにお腹がへって来たタイミングで、笹川さんが「じゃあ、麺の試食に行きますか」と立ち上がります。もちろんイチバの細胞は全会一致で大賛成です。
マッスル次回予告
次回の後編は・・・・
調理師の笹川常務が腕を振るう「試食」と、「山田食品」を担う若き社長の登場!!!!
昭和初期から続く山田食品の歴史とは・・・?
今回は一挙2本立てです!最後までお見逃しなく!