中華そばの新境地!”ネオ中華そば”を掲げる名店「いさりび」
令和2年になってもEverydayラーメンな自称日本一ラーメンを食べているアスリート(自分調べ)こと一場治之進です。最近は(3日程)ラーメン食べてないなぁ~とぶつぶつ言いながらイヨリ編集長と船橋駅付近を歩いていると、ラーメン屋の看板が!!!「らーめん・・ラーメン・・・」と虚ろな目でまるで明りに集まるイカの様にフラフラとお店に吸い込まれて行きます。
場所
お店の最寄駅はJR・東武アーバンパークラインの船橋駅になります。船橋駅からシャポーを抜けて旧Loft方面に抜けてすぐになります。
という訳で・・・編集長が外の写真を撮る間もなく店に単独で入る始末。入ると店主の堀江さんがにこやかに対応してくれました。
メニュー・店内
店内はカウンターのみ10席で、「これぞラーメン屋」と言った雰囲気ですね。厨房と近いので、作る所が見えるのが良い感じです。やはりラーメン屋の魅力と言えば、食べる所と作る所が近いためにお客さんがラーメンの作成から着丼・・それに食べるまでの一連を見て・嗅いで・食べて体験できるライブな所にあると思います。
その前に、入り口の券売機で注文を決めようと思いますが・・・・・毎度ながら悩みますねぇ~。今回は店主の堀江さんに聞いてみました。
「基本メニューの”ネオ中華そば”が出ますが、作るのに1年かかった”フロマージュフォンデュ”も食べて貰いたいですね。」と堀江さん
調理 ~ネオ中華そば~
店主の堀江さんにお願いして調理風景を見学させて頂きました。
「ネギは匝瑳市の農家から直接買い付けています。油は鶏油ですが、乾物などを入れていますので色々な香りがしますよ。カエシは最初は関東の醤油だけで作ったら尖りがあったので、現在は関東と九州の醤油をブレンドしています。九州の醤油は鹿児島のサクラカネヨの上淡醤油です。」
「チャーシューは肩ロースを使用し、ラーメンのタレに入れてから真空状態にします。その後、アノーバと言う真空調理機で6時間かけて低温調理チャーシューを作ります。アノーバは±0.1℃で維持出来るんです。チャーシューは60℃を超えると水分と一緒にミオグロビンと言う赤い成分が抜けてしまいます。その為にタンパク質が凝固しながら水分が抜けてしまわない様に注意します。」
「スープの出汁はゲンコツ・鶏ガラ・いりこ(煮干し)・鯖節・鰹節・乾物は昆布と椎茸と貝柱・野菜は玉葱と人参、ニンニク・ショウガを入れています。約24時間煮込みますね。スープは清湯スープなのですが、通常は清湯スープは乳化させない様にコトコト弱火で煮込むんです。うちは中華の清湯スープの技法の掃湯(サオタン)と言う技法を使います。まずは強火で半乳化後にペースト状の鶏のムネ肉を入れます。そのペースト状のムネ肉が凝縮すると、色々な成分を吸い取る事で清湯に戻します。」
「麺はラーメンが浅草開花楼製で、つけ麺が京都の宝産業の物を使っています。」
実食 ~ネオ中華そば~
懐かしさと新しさが合わさった独特なビジュアルが特徴ですね!!!これにはイチバも興奮マッスルです!!
スープは一口目にジンワリと旨味が口の中に広がる優しい味ですね。動物系×魚介系と言うより、動物系のベースの上に乾物と節系のコクのある旨味がホワ~っと効いていますね。まさに体に馴染む様な優しい旨味です。
正直、かなりハイレベルなスープですが・・食べ進むうちに旨味が強くなってきた気がします。まさに変化する旨味のスープですね。
「うちのスープは最初はインパクトが少ないんですよ。温度の低下と共に旨味が強くなります。中盤はグイグイ旨味がきますね。適温は70℃ぐらいんなんです。」と、堀江さん。
麺は浅草開花楼の中ストレートで、モチモチ感がしっかりとしていますね。「中華そば」らしいイメージを壊さずに、食感もしっかりとしているので・・古さも感じません。もちろんスープとの相性も抜群です。
具は三元豚のチャーシュー・海苔・自家製のメンマ・奥久慈卵の味玉・老舗の堀川のナルト・匝瑳の農家から直接買い付ける葱とデフォでかなり豪華ですね。
低温調理チャーシューは綺麗なピンク色で、火は通っているのにレアな肉の旨味がしっかりと詰まっています。これは特筆レベルで旨いですね!!!
海苔も上質です。味玉も黄身がトロッとしていてコクがあります。具の一つ一つの味が強く出ています。
スープから麺、具まで全てがピシャリとハマっていますね。自然に汁完出来ます。
調理~フロマージュフォンデュ~
フロマージュフォンデュは基本的に「ネオ中華そば」と同じスープを使用します。大きく違うのは麺の茹で時間が短く、固め・・と言うよりアルデンテの状態にします。
スープと麺・チャーシューを丼に入れた状態で温めたフロマージュを投入します。
「フロマージュ・・これは豆乳クリームと豆乳チーズにモッツァレラチーズとカマンベールチーズを溶かした物です。更に上からペコリーノチーズ・パルミジャーノ・レッジャーノチーズを削りかけます。」
豆乳ベースですが、チーズだけでもかなりの種類を使いますね。
「ペコリーノが塩味でパルミジャーノ・レッジャーノが風味を出すんですよ。」
実食 ~フロマージュフォンデュ~
アルデンテの麺を持ちあげると、フロマージュが一気に絡み・・持ち上げられます。その瞬間に香りがフワ~っと立ち昇ります。これは食欲をそそりますね~。
スープは一口目にチーズの強い香りが感じます。一瞬遅れてスープ本来の出汁感を感じます。そして、余韻は驚くほど軽いんです!!
これは斬新ですね!!それに完成度高いです!!!!
お店のこと
店主の堀江さんにお話を伺いました。
堀江さんは船橋市に生まれて高校までは市内で在学していたそうです。その後は都内の専門学校に進学し、市内の会計事務所に就職したそうです。
「会計事務所に3年半、都内のIT企業で3年、先物取引の会社に3年半、予備校の営業マンを3年程やって気が付いたんです。サラリーマン向いてないなって。それで、飲食をやろうとして・・ラーメン屋を目指しました。」
凄い経歴ですし、その仕事全部出来るのはある意味凄いですね。でも、ラーメンは元々好きだったんですか??
「いえ、ラーメンはそれ程でもなかったですね。だから、ラーメンも詳しくなくて・・船橋市内のラーメン屋の求人を見てもお店の事を知らなかったんです。当時は船橋駅の中に”ラーメン横丁”が出来る時だったので、そのテナントに入るお店の求人がありました。”六角家”・”ちばき屋”・”青葉”・・・それで、一番自分の好みに合う”青葉”にしたんです。」
今にして思えば船橋駅の「ラーメン横丁」の店舗は名前を聞いただけでも超豪華ですね。「※家系御三家」の「六角家」・・・半熟味玉の発祥の「ちばき屋」・・・「※96年組」の「青葉」・・。
説明しよう!!家系御三家とは、星の数ほどある横浜家系ラーメンのお店の中でも特に発祥の店「吉村家」のDNAを濃く引き継ぐと言われている3店の事だ!創業店の「吉村家」・2号店の「本牧家」・それに、本牧家の店主であった神藤氏が創業者となった「六角家」と言われる。同じ家系ながら・・それぞれに特徴があり、現在の家系のバリエーションを築いたお店だ。尚、2020年1月現在・・六角家本店は閉店していて、六角家の看板を掲げるのは戸塚店のみ。また、昨今では「家系御三家」と言う言葉はあまり聞かなく、「直系」などが使われることが多い。「直系」は「吉村家」の社長から免許皆伝を貰ったお店であり、「家系御三家」の2店は含まれない。また、「直系」のお店も次々に独立していて「直系」と言う言葉もなくなりつつある。イチバは「御三家」「直系」の出身と言うだけで期待に大胸筋を膨らませてしまう困った習性がある。
説明しよう!!96年組とは・・・長い長いラーメンの歴史の中で名店と呼ばれたお店が常に生まれていた。その中で特に「当たり年」と呼ばれたのが1996年。ラーメンのスタイルの新しいドアを開いたお店ばかりであり、多くのお店がこれら96年組の影響を受けていた。96年組の代表格としてはアパレル出身の店主によりスタイリッシュな店構えや新しい食材への挑戦を行った新宿「麺屋 武蔵」・豚骨魚介系ラーメンの礎を築いた中野「青葉」・淡麗系の元祖で、その影響で神奈川県を中心に淡麗系を流行らせた横浜「くじら軒」が挙げられる。特に豚骨魚介系は独自に濃厚時代に突入し、ラーメンそのもののスタイルを大きく変えた。加えると、翌年の97年には塩ラーメンを牽引する綱島の「桃源」などもオープンしていた。
こうして名店「青葉」のスタッフとしてスタートしたんですね。
「青葉には4~5年程在籍してました。最初はオーナーが仕切っていて、次に僕が店長になりました。3~4年はラーメン作っていましたね。ちょうどその頃、青葉全体で売り上げ最高を記録しました。」
そして、青葉を退社後に更なる新しい道に進みました。
「その後はムジャキフーズでグループ内の店舗を転々としました。色々な店舗を経験させてくれる会社でしたから。そして、日比谷の醍醐と言う焼き肉屋に1年いました。ラーメン屋を2社経験して、”ラーメン屋はどこも(やり方が)同じ”だと感じました。醍醐では韓国料理を通して、(キムチなど)色々な相性の良い物(素材)を入れて一つの物を完成させる”複合料理”の考え方を学びました。」
ムジャキフーズと言えば「トラスト方式」と言う業務委託式の飲食店で、独立支援による店舗展開をしている会社ですね。ここでノウハウを学んだのでしょうか。その後の「醍醐」は黒毛和牛一頭買いの焼き肉店ですね。こうして聞くと、本当に多くの事を経験されているのが分かります。
こうして、様々な経験を経て2013年2月に「いさりび」をオープンしました。
「実は僕はちょろっとサーフィンやっていて、思い出の九十九里の食堂の名前からとりました。それに、”いさりび”・・”漁火”はイカ漁などでイカを引き寄せる火なのですけど、”ひきよせる”灯を街に灯せる様に・・と思いつけました。漢字だと子供が読めませんし、それで平仮名にしました。」
伺うと、オープン前後は何度も何度も試行錯誤をされていたそうです。
「最初、レシピを1から作っても・・まとまるまでに時間かかりました。家で作っても作る環境が違うので参考にならないし・・だから作っても全部棄てたり、何が悪いのか分からないから棄てたり・・やっと固まってきたんです。チャーシューもオープン当初から変えて、味も安定してきました。」
一つ気になったのは、「ネオ中華そば」と言うネーミングです。中々聞きなれないネーミングですが・・・。
「それは、ブロガーのらんちばさん(ブログ名:千葉ラーメンをイタ車でGO)と言う方が初めにネットで言ってくれたんです。それまでは基本メニューの名前は”ラーメン”だったのですが、お客さんが”ネオ中華そば”ってどれですか??って聞いてきて、メニュー名も変更しました。”ネオ”はギリシャ語で”新しい”という意味、英語だとNEWです。」
いさりびは昨年京成大久保店もオープンしましたが、こちらは本店で修行した方が暖簾分けでオープンしたお店とのことです。
最後に、テイクアウト専門で台湾スイーツ「ユーユェン」。これは凄い気になる所ですが、出したきっかけは何だったんですか??
「奥さんが福建省出身で、台湾が近いのもあって好きなんです。これは芋を蒸かしてタピオカの粉を混ぜて作る芋団子なんですよ。福建省の武夷山は紅茶の起源と言われています。ここで採れる紅茶”正山小種”は英国貴族御用達なんです。それを土鍋で沸かして使用しています。」
全てに全力のメニューを作る堀江さんのお店「いさりび」。今後も目が離せない名店ですね!!!
マッスルコメント
挑戦する姿を見てイチバも50㎏ダンベル・ベントオーバーマッスル!!!!
拉麺 いさりび
住所/船橋市本町7-5-4 ワールドビル1F
TEL/070-5598-9982
営業時間/11:00~15:00 17:00~23:00
定休日/無休
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いさりび 京成大久保店
住所/習志野市大久保3-11-24
TEL/047-411-9965
営業時間/11:00~19:00
定休日/木曜
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