看板無き名店!船橋のレジェンド町中華でいただく歴史の味!!「天龍」
暖簾を潜ると香ばしい炒め物の香りと音・・・そう、学生やサラリーマンの心のオアシス「町中華」が段々と減ってきている事に本気で危機感を感じてる・・自称日本一ラーメンを食べているアスリート(自分調べ)こと一場治之進です。
今回はそんな町中華のレジェンド的名店を船橋で見つけてしまったので取材してきました。
場所
JR船橋駅と京成船橋駅の線路の間を船橋小学校の方に向かうと小学校の近くの住宅街にあります。どちらの駅からも3~400ⅿ程で徒歩圏内です。

船橋駅と京成船橋のどちらも同じぐらいの距離だ。船橋小学校の近く。
看板がないので、営業中の暖簾を目印にすると分かりやすいですね。

看板がないので暖簾を目印にしよう。奥には京成線が見える。

京成線方面から来ると住宅街の中に自然に馴染んでいるのが分かる。
今回はイチバのマッスルセンサーが「ココ メイテン ダヨ(裏声)」と反応しています。
看板の無い老舗・・・もはや期待しか湧いてこないです。

年季の入った佇まい…名店の予感マッスル!
店内・メニュー
店内は歴史を感じる作りで、テーブルのみ4席×4の計16席です。

歴史を感じる作り。これぞ町中華・・。
メニューが壁に掛けられているので見ると・・・・
「い・・イヨリさん!!」イチバが口を半開きでビックリします。
「これは凄いですね~」と、イヨリ編集長も頷きます。

壁に掛けられたメニューの木札が凄い!!そして、よく見ると値段も凄い!!カツ丼もある!

ラーメンが370円!!!す、凄い!!!!
「この木札は創業時にペンキ屋さんが書いてくれたんです。」と、店主の岩田さんが言います。
値段は改定した跡がありますが。それでもこのご時世に、ラーメン370円!は正直みた事がないです。今回は奮発して「チャーシューメンとチャーハン」を注文しました。
調理
店主の岩田さんにお願いして調理を見学させて頂きました。

厨房は古くても綺麗に整頓されていて清潔だ。丁寧な仕事ぶりが見て取れますね。

2代目店主の岩田さんと女将さん(先代の奥様であり岩田さんのお母さん)の連携に無駄は一切ない!

丼に張るカエシ(タレ)。女将さんの動きも無駄がなく経験値を感じる。
「カエシ(タレ)はチャーシューの煮汁をもとに、薄口醤油で作ります。チャーシュー含めて、自家製です。メンマも塩漬けしてから戻して、油で炒めるんですよ。」と、岩田さん。

丼に張られたカエシ。この色が町中華らしさを感じさせる。醤油の香りがたまらない。

麺茹で。一つ一つの動きが落ち着いている。

一つ一つを説明しながら作ってくれる。女将さんの優しい雰囲気が良い感じ。

豚骨・鶏ガラ・野菜でとったスープを投入。良い香りが漂う。

茹で上がった麺を平ザルで湯切りし・・・

丁寧な盛り付け・・・・。遠目でも旨そうなのが分かる。
そして・・・・・。

間髪入れずにチャーハンを作る。音・匂い・動き・全てが食欲を刺激する。
実食① チャーシューメン(イチバ担当)

「うわあぁぁぁぁぁ~♪」子供のように目が光るイチバ。
ラーメンとチャーハン!これぞ町中華の最強タッグ〜!

「チャーハンもいただきま~す!!」「チャーハンは俺のです!」食欲を刺激されていたのはイチバだけじゃなかったようだ。
と、言うわけで・・

まずは「チャーシューメン(イチバ担当)」
まずは見た目の完成度が高いですね。全てがピシャリとハマっています。所謂「ノスラー(レポ2泰山参照)」ですね。

懐かしさを感じる旨味!!!これがラーメンだよな~と言ってしまいそう。
スープはチャーシューの煮汁のコクと旨味・香ばしさがしっかりと効いていますね。豚骨・鶏ガラも丁寧に効かせて、所謂オールドスタイルなのですが・・・しっかりと旨味を感じます。旨いですね。お世辞抜きに「しっかりと作られている旨いスープ」です。ノスラーマニアが食べたら感動するでしょうね。

麺は中縮れで、このスタイルにピシャリ!!
麺は埼玉県川越市の「はつかり麺」の中縮れです。癖がなく適度なモチモチ感がスープに合っていますね。茹で加減も調度良く、スープに絡む上にヘタっていません。

スープと麺がリズムよく口に入る・・。全てが自然に丼に収まっている。
具はバラロールチャーシュー・メンマ・青菜・ネギ・ナルトです。特にチャーシューの量が凄いですね・・感動です。

バラロールチャーシューの旨味が秀逸!脂身と醤油の香りが旨香ばしい!!
バラロールチャーシューを口に入れると、口の中に脂身の甘みと醤油の香ばしさが広がります。これは旨いですね~。この質のチャーシューを惜しげもなく投入する「チャーシューメン」は超コスパ良いです。

青菜も良い仕事をしている。一つ一つの具材も役割がある。

これが旨いラーメンだよなぁ~。ラーメンの原型であり最終形態なのかもしれない。

気づいたら完食!!!旨かった!!もう1杯いけそう…いや、いきたい!
色々なラーメンがある中で、このラーメンは東京ラーメンの「原型」であり「最終形態」と言えますね。本当に美味しかったです。
実食② チャーハン(イヨリ担当)

赤い縁が美しいチャーハン。チャーハンを食べればそのお店のレベルが分かる。

イヨリ編集長、ノーモーションでパクリ・・・。

一口目から目を丸くする編集長
「これは相当旨いですね。具材がシンプルだからこそ炒め技が光るチャーハンです。絶妙なオイリーさ、チャーシューの旨さも光ります。」
最後に一言・・・「まさに名店発掘ですねこれは。」
チャーハンをこよなく愛するこの男の、この一言が全てを物語っています。
ちなみに注文でもチャーハンの数は圧倒的に多いそうです。
お店のこと

まさに名店と言える町中華の暖簾を守る岩田さん。このお店と岩田さんの歩みを聞いてみよう。
2代目店主の岩田有蔵(以下:岩田さん)さんにお話をお伺いしました。
まずは、岩田さんの祖父の代に話はさかのぼります。
「祖父の一族は八王子に住んでいましたが谷津の撮影所の舞台装置の仕事の為に船橋に一族で出てきたんです。昭和初期の話でしょうか・・。父は船橋で生まれています。」

いきなり出てきたディープな話にイチバもビックリ。谷津の撮影所・・・。
確かに調べると「阪妻」と呼ばれて親しまれていた大スター「阪東妻三郎」が昭和5年に松竹との提携を解消して翌昭和6年に谷津遊園内に「大日本自由映画プロダクション阪妻関東撮影所」を設立しています。阪東妻三郎と言えば、俳優の田村正和氏の父親!(イヨリ編集長は田村正和のモノマネが上手いそうです*どーでもいい情報)。撮影所は昭和11年まで存在していました。
「その後は太平洋戦争になりました。祖父は三菱重工に勤めていて、父の”岩田金吉”は戦後・・兄の洋服屋の手伝いをしていました。その後は飲食店をやろうと川崎のお店に1年程修行に行ったそうです。そこでは和洋中やっていたそうですね。こう言っては何ですが、父は器用な上に寿司など食べ歩くの好きでしたので・・舌は敏感だったと思います。」

時代の流れが岩田さんの一族の生活を変えた。そして、岩田さんの父は飲食の道に。
その後、今から50年ほど前に「天龍」をオープン。
「天龍は祖父が勤めていた撮影所の舞台装置ややっていた人が名付けてくれたそうです。メニューは現在とほぼ変わらず、種類は増やさなかったそうです。レシピもほとんど変わっていませんね。」
・・と、言う事は・・・50年程前にこのレベルの味を出していたんですか?これが一番ビックリです。
「創業当時はラーメンは40円。今は値上げしたけど・・メニューは時代と共に少し変わりましたね。学生いたときは”あんみつ”・”ところてん”とか。」

店名の由来は撮影所が関係していた。写真は創業当時配っていたと言うマッチ。

約50年近く前の船橋駅前(写真提供:船橋市郷土資料館 *手塚博禮氏撮影)
こうして現店主の岩田さんは船橋に生まれました。当時はこの付近は田園だったと言います。
「お店が忙しく人手が足りなかったので私は高校卒業後から家業を手伝っています。オープンして最初の10年は東船橋駅がなくて、市立船橋高校や県立船橋高校の学生がよく店に来ましたね。その後は病院・予備校などが出来て、順繰りお客さんが付いていましたね。」

岩田さんが手伝っていた頃の天龍付近の画像。奥の丸い建物が病院(写真提供:船橋市郷土資料館 *手塚博禮氏撮影)
先代と一緒に厨房に立っていた時はどうでしたか??
「何せ夢中でやってきましたから・・でも、父は厳しかったですね(笑)。父は看板とか嫌いで昔から無かったんです。それでもお客さんが着いたんだからすごいなあと思いますよ。」

「父が師匠」と言う岩田さん。こうして天龍の味は受け継がれた。看板がないのは先代の意向。
「昔、うちによく食べに来てくれた学生さんは周富徳に弟子入りをして、馬込町で”南園”って中華料理屋をやってました。それ以外にも、昔のパートさんや高校時代の先生なんかが今でも来ます。」
「南園」と言えば、今は閉店していますが・・TVでも紹介されている船橋市の名店ですね。「天龍」で食べて中華料理の魅力を感じたのかもしれませんね。多くの人に愛されてきたのですね。

笑顔で語る岩田さん。自分の代で終わりと言うが・・・イチバはまだまだ続けてほしい。
最後に、今後について伺いました。
「店は自分の代で終わりですね。でもやっぱりお客さんに美味しいと言ってもらえるのは、活力になりますよ。だから体が続く限りは続けて行きたいね」
味も雰囲気も歴史も極上な「天龍」。今回取材を受けてくれたのも、どこかで記録しておきたかったからという岩田さん。出来るならばずっとずっと続けて欲しいですが、歴史ある名店をこうして皆さんにご紹介できたことはとても嬉しく思います。

まさに町中華の超名店!!ずっとずっと続けて欲しいです!御馳走様でした!!
マッスルコメント
船橋を代表する名店「天龍」を鎌ヶ谷市のマスコットキャラ「かまたん」と一緒に応援マッスルたん!

(特別友情出演:かまたん)
天龍
住所/船橋市本町4-14-15
TEL/047-422-7386
営業時間/11:00~15:00(出前もあり)
定休日/日曜・祝日
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