toggle
2019-10-26

ラーメンの神様から受け継いだ魂の”もりそば”「北習大勝軒」

一気に気温が下がるとラーメンを食べたくなる自称日本一ラーメンを食べているアスリート(自分調べ)こと一場治之進です。・・えっ??いつもラーメン食べているって??・・・分かりました、今日は「もりそば(つけ麺)」を食べることにします。

第43回はイチバが「つけ麺」の素晴らしさを知るきっかけになった「北習大勝軒」に久しぶりに来てみました。

 

場所

最寄り駅は「北習志野駅」。お店は駅からも近い。

新京成電鉄・東葉高速線「北習志野」駅が最寄りのこのお店、駅を出て左に線路沿いに進むとすぐ見えるので新京成電鉄のホームからもお店が確認出来ます。

北習志野駅方面から。沿線沿いなのが分かる。

「もりそば(つけ麺)」の発祥と言われる東池袋大勝軒」の系統の中では千葉県ではいち早くオープンした名店だけに、千葉県におけるつけ麺のレジェンドと言っても過言ではないでしょう。約20年前にイチバはこのお店で「つけ麺」の魅力に取り付かれました。

イチバのRMYK(ラーメン用語解説)
説明しよう!!東池袋大勝軒とは・・今では誰しもが知っている「つけ麺」を考案したと言われる「ラーメンの神様」こと山岸氏のお店なのだ。巷では大勝軒の本店=東池袋と思われがちだが、実は本店ではない。ルーツは長野の蕎麦屋の流れを汲む「丸長」であり、その流れの中野大勝軒で山岸氏が厨房に立った際に「もりそば=つけ麺」を考案する。中野大勝軒の店長を経たのちに自身の独立店である「東池袋大勝軒」を1961年に開店する。その後は多くの弟子を輩出し、エピソードも多いことからラーメン界の伝説と化したお店。2007年に開発の為に閉店し翌2008年に移転オープン。2019年10月現在は2代目の飯野店主(滝野川大勝軒)が店を切り盛りしている。イチバが行列に並んだ過去最高の時間が山岸氏時代のここで実に2時間50分待ち。ちなみに同名の「永福町大勝軒」「人形町大勝軒」は全く別のお店で関係ない。

 

マッスルラーメンレポ初の「東池袋大勝軒」系のお店にテンションクライマッスル!

久々に実家に戻ってきたかの様な感覚で入るイチバ・・「ここの”もりそば”絶品なんだよなぁ~」

店内・メニュー

店内はカウンター6席・テーブル2席×4・4席の計18席です。

店内はアットホームな雰囲気だ。

店内入って右手に新しいタイプの券売機がありますが、優柔不断代表のイチバは券売機前の渋滞緩和の為に外のメニューを確認しに行きます。

「らーめん」は醤油と味噌。麺の量が書いてあるのは嬉しい。

「つけ麺」はもりそば=醤油・味噌つけ=味噌

ここは「もりそば」1択ですよねイヨリさん!!クールに決めたかと思いきや・・・。

「味噌つけ」なんてズルいですよね!!迷っちゃうじゃないですか!!

「じゃあ2杯作ってあげるよ。体でかいから食えるでしょ?」

と店主紺野さんの男気溢れるご好意によりW完決定!!!「もりそば」「味噌つけ」を注文します。

調理

店主の紺野さんにお願いして調理を見学させて頂きました。

旨味の詰まったスープが入る寸胴。動物系と魚介系のブレンドらしい。

「スープの出汁は豚のゲンコツ・豚足・鶏のトリガラ・モミジ・アタマ、それに鯖節と鰹節・煮干し・あとはニンジンなどの野菜だよ。仕込み時間は大体4時間ぐらいで、小鍋などに移して温める事はせずに寸胴の火はつけっ放しなんだよ。」

これが千葉県内でもトップレベルと言われる「北習大勝軒」の自家製麺

「麺は自家製で小麦粉はオーストラリア産を使用しているんだ。カン水は大抵のお店は買っているけど、うちは自分で作っているよ。それと、打ち立てのモチモチ麺と寝かせて熟成させたシコシコ麺を混ぜているんだ。これで両方の食感が味わえるんだ。」

初めて聞く方法ですが、どこからヒントを得たんですか?と聞くと

「これがねえ・・・漫画なんだよ(笑)」

どんな事からもヒントを得ると言う紺野さん。打ちたてと熟成の麺2種を混ぜるとか。

かの有名なグルメ漫画からヒントを得たという。実際にやってみたら両方の食感が味わえたと言うのだから、漫画も馬鹿には出来ないですね。

麺を投入!何故か東池袋大勝軒系の麺茹では独特の香ばしい香りがする。

タレとお湯を丼に張る。流石に熟練の職人・・・流れる様な動きだ。

「タレは”味噌つけ”は九州の麦味噌3種を使って、”もりそば”はチャーシューを煮た醤油・薄口醤油・濃口醤油を使うんだよ。」

さらに調味料を入れます。酢・胡椒・旨味調味料を入れます。

流れる様な作業に見とれてしまう。一つ一つが考え尽くされた跡がある。

「つけ麺の基本は実は”冷やし中華”なんだよ。マスター(山岸氏)もそこからヒントを得たそう。」

丼の底には「ヅケチャーシュー」と呼ばれるサイコロ状のチャーシューが入ります。

「これはタレで漬けたチャーシューを更に出汁スープに1日つけた物。そうする事でチャーシューが”つけダレ”にしっかりと馴染む味になるんだ。」

茹で上がった麺を箸ですくい、ザルで湯切りする。

そして水で手早く締める。ちなみに麺が温かい”あつもり”はこの後に熱湯に通す。

タレを張った丼に出汁を投入。節系の香りが強く感じる。

背脂を投入。「背脂を入れるのは多分うちだけじゃないかなぁ~」と紺野さん。

珍しいモモチャーシューを上に乗せる。風味が落ちないように提供毎に切る。

味噌つけにはゴマと韓国産辛子を投入。韓国産と言うのがポイントだとか。

「唐辛子は韓国産のじゃなきゃダメだ。韓国産は絡みの奥に旨みがあるんだよね。」

両方に岩海苔も投入する。東池袋大勝軒系の中でも独自の路線だ。

 

実食

これがデフォの「もりそば」。修行先と比べると、やや黒めのつけダレ。

「味噌つけ」。東池袋大勝軒系では珍しい「味噌」。背脂と辛子が映えている。

「これだよこれ!!」とはしゃぐイチバ。テンションマッスル!

「もりそば」のつけダレ

つけダレ双方共に節系の酸味の効いたキレとが強くメリハリが出ています。「もりそば」は節系が前面に出ていて、「味噌つけ」は味噌とゴマの「和」らしい風味がファーストインパクトとして感じて、後から節系が感じます。所謂「東池袋大勝軒系」「まろやかさ」が前面に出ているお店が多い中で、かなりオリジナリティ―が出ています。このキレキレのスープは東池袋大勝軒と言うより、特に「もりそば」はその大元である「丸長」寄りに感じますね。はっきり言って、個人的にどストライクです。背脂の存在もキレだけでなくまろやかさも出していて良い感じですね。

ゴマと味噌の風味が前面に出た「味噌つけ」のつけダレ

太ストレートで、モチモチ感が前面に出た自家製です。東池袋大勝軒とほぼ同じ太さですね。モチモチ感とのど越し・・それに、麺自体に味があると言うのが面白いです。昨今は太さと強いコシを求めるお店が多い印象がありますが、この麺は美味さを追求しています。こう言う表現は軽く聞こえるかもしれませんが、全国屈指の麺の一つだと個人的に思います。

イチバが全国屈指の麺と言う「北習大勝軒」の麺

これがイチバを魅了した麺。麺に味がするのが特徴。動向したイヨリ編集長も旨さに悶絶していた。

チャーシュー2種・岩海苔・メンマ、それに東池袋大勝軒の証である固茹での玉子メンマもしっかりした味で旨いのですが、特筆すべきはチャーシューヅケチャーシューはジュワっと噛んだ瞬間に旨味が効き、つけダレと肉の旨味が一気に口の中に広がります。モモチャーシューも逆に肉の食感がしっかりと味わえますね。極上です。

ヅケチャーシュー。旨味が詰まった塊は極上!

凄いのは、つけ麺はタレのブリックス濃度※番外編:山田食品 後編参照が高いほど麺の絡みが良い中で・・この1杯はブリックス濃度が低いのにタレと麺が絡みます。極上のつけダレと極上の麺・・・そして、その絡みを考えると全国トップレベルの1杯と言わざるを得ません。

全国屈指の「もりそば」をズルズル・・・・・

う・・・・美味すぎる・・・。イチバの表情が変わる

続いて「味噌つけ」もズルズル

味噌の芳醇な香りがファーストインパクトで感じる・・これも負けじと旨い!

スルリと2杯完食!!

お店のこと

紺野さんにお話をお伺いしました。

まさに「最強」とも言える「もりそば」を作る紺野さん。修行時代が気になる。

紺野さんは福島県出身で、高校卒業後に船橋市の大手硝子メーカーに入社しました。

「精密機械のメンテナンスをやっていた技術屋だったんだ。サラリーマン時代から山手線沿線を中心にラーメン食べ歩いていて、40歳くらいでラーメン屋やりたくて脱サラしたんだよ。でも40のおじさんなんて雇ってもくれないだろうし、作り方を教わりたかったから“タダで良いから使ってくれ”って言って数軒の店舗修行したんだ。その中でやっと美味いって思えるお店”満来”に出会えた。」

「満来」と言えば新宿の老舗行列店ですね。

「そこの堀内さん(現ほりうち店主)の下で修行したんだけど、繁盛店でメチャメチャ混んでね・・・開店前から閉店までずっと行列!熱い丼持つから手は火傷だらけ、常に店内走り回ってたから帰りの電車でよく足つったよ。」

まさかの「満来」出身にビックリのイチバ。新宿と池袋を代表する2店での経験は凄い!

「その後は東池袋大勝軒マスター(山岸氏)の下で働いたよ。大勝軒での仕事は慣れるの早かったな。」

実は「北習大勝軒」は数ある東池袋大勝軒系の暖簾分けの中でも3番目のお店との事で、かなり早い時期の弟子だと言うのが分かります。

東池袋大勝軒で仕事していると色々な人が教わりに来るけど、すぐに辞めちゃって・・マスターと2人っきりで厨房に立ってた事が多かったなぁ。冗談とか言い合ってね。ある時”マスター!ラーメンって何ですか?”って聞いたら”俺の生きがいだ”って言ってたなあ」

東池袋大勝軒での修行時代を話す紺野さんは楽しそうだ。

東池袋大勝軒での修行経験が長いからこその製麺技術が光っていますね。

東池袋大勝軒魅力はやっぱり”麺”。だから製麺室は”聖域”だった。でも、マスターが早いうちから教えてくれてね。最後の方はお店で出す麺を打たせてくれたんだ。慣れてきたら後輩の後藤君(麺屋ごとう:駒込)にも麺打ちを教えたりね。マスターのお陰で”美味いものを作るのは自分の気持ち”だって感じたよ。」

マスターとの思い出の一つ一つが今の紺野さんを支えているのだ。

「ラーメンの神」と呼ばれたマスターこと山岸氏はどんな方でしたか?と伺うと・・・。

「凄く純粋な人だったよ。ラーメン作らせたらやっぱり”神様”だった。センスが凄すぎるんだろうね・・8年間作り続けたけど、マスターの味を超えるのは無理だった。だから”同じ事やっていたんじゃマスターを超える事はない”と思って、自分の味を作ろうと思ったんだ。」

こうして、北習大勝軒が暖簾分けとして平成8年にオープンします。そして、東池袋大勝軒系の店内ではほぼ見る事の出来る「あの」写真の事も・・・。

「マスターが“ツーショット写真いらないのか?”って言ってきたんだけど、“いらないです。マスターとの写真じゃなくて、マスターに教えてもらった事で客呼びたい”って伝えたんだ。美味いもの作っていれば、お客さんを通じてマスターの耳に入るから・・。たまにマスターに会いに行くと“お前の所、美味いんだってな・・うちに来るお客さんが言ってたぞ”って言われたのは嬉しかったね。」

色々な事を経てオープンした北習大勝軒

何故北習志野でオープンしたのでしょう?

○○大勝軒って、前に地名をつけた看板はウチが初めてだと思うよ。この場所を選んだのは開店当時は東葉高速鉄道もまだ開通していなくて、学生が多かったんだよね。駅前だったしここなら入るんじゃないかなって思って決めたよ。でも」

最後にラーメン楽しいですか?と伺うと

「同じ味は二度と作れないからね。だから面白いんだよラーメンは。働いてて嫌になった事なんて一度もないよ!」と笑顔で答えられました。

最強の「もりそば」は最高の「経験」「人柄」が生んだ1杯!!また来ます!!

 

マッスルコメント

力強い自家製麺を食べて・・

力強いチンニング(懸垂)マッスル!!!

 

北習大勝軒

住所/船橋市習志野台2-2-14

TEL/047-469-8815

営業時間/11:10~14:40 17:30~20:50

定休日/月曜(祝日の場合は翌日)

↓地図はこちら

過去のマッスルラーメンレポ記事はこちら

 

関連記事