船橋に根付く人情!超老舗製麺所で見た職人の魂!「小松屋製麺」
もうすぐ令和元年も終わりますね・・・スーパーでは年越しそばのエリアも増えて来て、自称日本一ラーメンを食べているアスリート(自分調べ)こと一場治之進のズル値(ズルズル啜りたくなる気持ちの値)がマッスルになっています。
こうなってしまうと、麺の匂いに誘われて何処へでも行ってしまいまう今日この頃です。今回は令和初の年越し蕎麦を求めて、噂に聞く船橋駅近くの老舗製麺所に来ました。
場所・製麺室内

最寄りは京成船橋駅なので、もちろん船橋駅からも徒歩圏内
場所は京成電鉄の京成船橋駅から約450ⅿ程。東改札を出て道路を挟んだ路地裏商店街「仲通り商店街」を抜けて船橋市勤労市民センターを横目に、そのまま直進すると右手に見えます。

飲み屋街の「仲通り商店街」を抜けて、さらに直進

船橋市勤労市民センターを抜けて直進すると右手に見える。

船橋市の大御所であろうオーラが漂う老舗製麺所!
年季の入った建物ですね・・・まさに歴史を感じます。

入ってすぐ1階に製麺室がある。古さはあるが整頓されている。
建物に入るとすぐに製麺室があります。中には製麺に必要な機械が一通りあり、麺箱も積み重なっています。

製麺機が間近で見れる。規模が大きくないからこそ、麺と人間が近く、目が行き届く。
製麺
3代目社長の小谷野純一さんにお願いして製麺作業を見学させて頂きました。

一人で製麺の全工程をこなす。写真は4代目の小谷野 悟さん。
製麺室では4代目の悟さんが手際よく製麺を行います。一人で全ての工程を行うので、1玉1玉の麺に対して目が行き届いています。それだけに質の良い麺が仕上がります。
伺うと「小松屋製麺」では日によってですが、1日に2千玉程の生産を行うそうです。

圧延の工程後の麺帯。これを低温で熟成させるのだ。
作業は他の製麺所と同じように①ミキシング②圧延③熟成(麺帯熟成)④連続圧延と言った手順ですが、小谷野さんに伺うと特に気を付けているのは「③熟成」と体に悪いものは極力使わない事だそうです。

低温で熟成させるのが小松屋製麺のこだわりだ。これにより食感が大きく変わる。
「熟成は約1日で、低温で熟成させる。お店によっては更に2~3日熟成させるよ・・・そうする事で食感が良くなるんだよ。それに出来上がったばかりの麺はスープに入れると伸びやすいんだよ。熟成させると伸びにくくなるんだ。麺を”カタメ”で注文する人が今は多いけど、”カタメ”と”コシ”は違うんだよ。」
小谷野さん曰く、麺の良さを知りたいならストレート麺が分かりやすいそうですね。
「お店によっては”古い麺をくれ”って所もある。町中華なんかは伸びにくい出前に適した麺を必要としているんだ。それに人気の町中華はお客さんは店主と話しながら食べるから、時間がかかる。だから、伸びにくいのが合うんだよね。」
「町中華」特有の事情が熟成麺を欲する事に繋がっているようですね。奥が深いです。

連続圧延の風景。複数のローラーにより麺帯が薄くなる。
ちなみにどこの粉を使っているかは企業秘密だそうです(残念)。しかし、ブレンドはせずに1種類を使用しているそうですね。
「実際、麺は粉で決まるからね。種類やブレンドの仕方で変わるんだよ。」

麺を切り刃で切る事で麺が完成する。
麺箱には出来上がったばかりの麺が並んでいました。取引先は市内に集中しているそうです。

出来上がった麺が麺箱の中に所狭しと並んでいる。
お店のこと ~3代目に聞いてみた~
3代目社長の小谷野 純一さんにお話を伺いました。

3代目社長の小谷野 純一さん。代々続く製麺所を継いだ時の事を聞いてみよう。
まずは、建物を見ると年数を感じますが・・いつ頃から営業されているのですか??
「初代は明治生まれで、食堂を営んでいたんだよ。創業は分からないけど、大正~昭和初期かな。創業者の”小谷野 松二郎”の名前からとって”小松屋”。昔は旧市役所の登記所の人達が食べに来ていたみたい。その時は手で練ってた蕎麦・うどんをお客さんに食べさせていたみたいだよ。」
た、大正~昭和初期????創業約100年??
イチバもマッスルビックリです。

もしかして日本有数の老舗???と、驚いて興奮気味のイチバ。
「初代がやっていた食堂では、戦時中に米が足りなくなって、ヤミ米買いに福島の相馬まで自転車をこいでいったと聞いた事もある。製麺業を始めたのは大正生まれの2代目・・つまり俺の親父が店を手伝い始めてからなんだ。」
混乱の時代を走り抜け、自給自足の食堂から製造業へ・・初代と二代目が時代やニーズに合わせて対応した姿が思い浮かびます。

混乱の時代も走り抜けてきた小松屋を継いだ小谷野さん。この地に生まれて家業の仕事を覚えた。
三代目の純一さんはいつから製麺技術を覚えたのですか??と伺うと
「俺は若い頃から製麺技術を仕込まれたよ。そういうもんだと思っていたしね。若い頃は午前中に製麺の手伝いして、午後からトラック運転主やったりしたなぁ~。」

懐かしそうに当時を語る純一さん。父である2代目の指導は厳しかったようだ。
そして、今は4代目の悟さんに引き継いだんですね。
「今は息子に任せているよ。同じように小さい時から手伝わせてたし。俺のやり方と違うところもあるけど、色々言ったりしないんだ。昔(のやり方は)は昔で今は今だから。」純一さんは笑いながら言います。

4代目の息子さんとはやり方は違うが、それは時代の流れだと言う。
そう言えば、一つ気になった事があります・・・・小松屋製麺の取引先で近所に「こまつや」と言うラーメン屋さんがあります。そことの関係は???
「40年ぐらい前かなぁ~。こまつやのご主人が”ラーメン屋やりたいので麺を卸してくれないか”って来てくれてね。そこから麺を卸す事になったんだけど、実はうちとは全く関係ないんだ(笑)。なんでそういう名前なのかは向こうのご主人に聞いてみてよ」とのこと。
偶然なのでしょうか?ますます興味深いですね。これは次回の課題にしておきましょう。
お店のこと ~4代目に聞いてみた~
次に4代目の悟さんにお話をお伺いしました。

24歳で全ての工程を任される悟さん。すでに腕の良い職人なのだ。
悟さんはもちろんここ船橋で生まれ、市内の普通科高校を卒業しました。現在は4代目として麺作りを任されている若き職人です。
「高校卒業後の18、9歳の頃は家業を継ぐか、何とも言えない状態でした。”やる人いないから、とりあえず手伝うか”って思っていました。だから継ぐのを辞めたいと思わなかったと言えば嘘になります・・・。」

家業を継ぐことに葛藤した時期もあったと語る悟さん。今は楽しいと言える様になったらしい。
先ほどお父さんはやり方が違うと言っていましたがどの辺が違うのでしょうか?
「父は全てが目分量なんです・・”こんなもんだろ”みたいな。僕はきっちり測ってやらないと駄目なんですよ。心配性で自信持てなくて。料理を作っていても、レシピに”塩 適量”って書いてあると”適量って何だよ!!何gだよ!”ってなります 笑」
聞くと、研究熱心だった悟さんはメーカーへ直に聞きに言ったり、薬の分量を図る精密な測りを導入したりしたのだそうだ。

それも今の職人の姿だと悟さんを認めている純一さん。そこには絶大な信頼関係が見て取れた。
最後に小松屋製麺の強みと今後の展望を聞かせてください。
「アフターケアだと思います。取引先が近いので麺が足りなければ、すぐに届けます。これがうちの強みですね。いろいろ研究しながら良い麺を作り続けていきます。」と4代目の悟さん。
「特に仲の良い人には携帯も教えといて、いつでも対応出来る様にしているんだ。だから、酒飲んでいる時にも“宝楽(レポ7:宝楽参照)”さんから”凄い忙しいところ悪いんだけど麺届けて〜”って電話来るんだ。俺が飲んでるの知ってて(笑)。これが下町の付き合いなんだよ。」と3代目の純一さん。
「下町の付き合いと言えば、”宝楽”さんには良く通っていたんですけど・・僕が幼少の頃に宝楽に行って、お店の中に入って勝手に鍵をかけちゃった事とかあったみたいです。全然覚えていないんですが(笑)。そんな間柄なんです。」と悟さん。
ご近所の馴染みというのでしょうか、こういうほのぼのしたエピソードが聞ける下町風情が残るのも船橋の良さですよね。

船橋が誇る人情と職人の魂が宿る超老舗製麺所!親子でこれからも頑張って下さい!
やはりスープに入った麺を食べたくて
色々なお話を聞いて、「小松屋製麺」のファンになったイチバ。
麺と言えば、小松屋製麺の麺がどの様にラーメンの丼の中で泳いでいるのか気になり・・・ある所に向かいました。

「小松屋製麺」と言えば、あの名店「宝楽」で使用しているらしい・・。
そう・・あの船橋の名店であり、中華鍋の達人山内さんのお店「宝楽(レポ7宝楽参照)」。

店内では懐かしい山内親子が腕をふるっていた。元気な奥さんも健在だ!!

とりあえず、麺を味わう為に「ラーメン」を注文。スープに泳ぐ麺の姿は美しい。

麺リフト。やや黄色がかった麺はツルシコだ!中華麺のツボをしっかりと押さえている旨い麺!
スープに泳ぐ中細ストレート麺を味わうと、粉の旨味とツルシコの食感がしっかりしています。平凡なスタイルの中に隠された質の高さを感じます。
「やっぱり旨いなぁ~」
もちろん毎日朝から炊いている「宝楽」のスープも極上ですが、こうして味わうと「小松屋製麺」の質の高さを再認識出来ますね。

達人の山内さんに小松屋製麺について伺った。
「小松屋製麺を使っているのは初めはご近所付き合いから!でも、ここの麺は質が良いし変な物を入れてないんだ。質が良い製麺所だから、他に変える理由がない。それに、お父さんもだけど・・息子さんも真面目で頑張っているからね。良い仕事するから応援したいんだ。」
地元に愛されている老舗の製麺所をイチバも応援したいです!
マッスルコメント
麺のコシにも負けない腰を作るためにスクワットマッスル!!!
小松屋製麺
住所/船橋市本町4-35-3
TEL/047-442-4042
営業時間/日が昇ってから携帯がつながらなくなるまで(小谷野社長談)
定休日/木曜(一応)
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