toggle
2018-09-24

中華鍋を振り続けて半世紀超!達人が作る極上のタンメン「中華料理 宝楽」

 

最近野菜、足りていますか??

自称日本一ラーメンを食べるアスリート(自分調べ)こと一場治之進です。

どんな悪天候にも負けず、ラーメンとマッスルある所に出没しつつ・・・これからも鎌ヶ谷・船橋・白井のラーメン屋を取材し、イチバ的視点でお店の魅力を皆さんに伝えて行きたいと思います。

第7回は京成電鉄「大神宮下駅」近くにある「中華料理  宝楽」に行ってきました。

鮮やかな赤い屋根が目印。この地に根ざした中華料理屋という外観

 

場所

「宝楽」は京成電鉄の「大神宮下駅」から徒歩5分程の場所にあります。ちなみに「京成船橋駅」からも徒歩圏内ですが、徒歩10分程かかります。

京成電鉄「大神宮下駅」より徒歩5分程の好アクセス。

大神宮下駅の改札を出て、高架下を京成船橋方面に歩くと「海老川橋」に当たります。その橋を船橋駅方面に渡ると左手「宝楽」が出てきます。

「えびがわばし」。「船橋地発祥の地」と書かれ何か、歴史がありそうな橋だ。

「大神宮下駅」から向かって「えびがわばし」を渡ると左手に見える。

京成船橋から「本町1」交差点を左折し直進すると右手にある。

この辺はもともと大神宮への参道ということもあり老舗のお店が多いので、船橋の歴史を感じさせる町並みが残っていて素敵ですね。そんな場所に「宝楽」はあります。今回は、どんなドラマが待ち受けているのでしょうか???ドキドキしながら店内に入ります。

年季の入った引き戸に手をかけて店内へ・・・。

店内

店内は厨房をL字に囲うカウンターのみの14席です。赤を基調にした店内が中華料理店らしさを出しています

「赤」を基調にした店内は年季が入った中華料理店らしい。

「うちは基本的に取材受けないんだけど、なんでか今回OKしちゃったんだよなあ・・・なんでだろう?不思議だな〜」と語る店主の山内さん。

「お父さんいつも断ってるのに、本当にどうしちゃったのかしらねえ」と奥様

 

きっとこれはご縁かもしれないですねなんて話をしていると

「まあまずこれ飲んでみてよ。豚骨・煮干し・鰹節で取ったスープだよ。美味いスープは塩だけで飲めるんだ」と、寸胴からすくったスープに塩だけで味付けして出してくれました。

透き通るように透明なスープ!

なんて透明度の高いスープなんだ!豚骨で、この透明度は凄い灰汁抜きが必要なんじゃ・・・・。

朝5時半から仕込むというスープ。丁寧にアクを取り除くことでこの透明さが生まれる

山内店主はこの透明度の高いスープを作る為に毎日5時半から仕込みを始めるそう。煮干しや鰹節も静岡から取り寄せているとの事です。一口すすると、力強く滋味深い旨味が口の中に広がり「う・・美味い」

メニュー

メニューは麺類とご飯物と、一品料理・・・あれ??そう言えば炒め物が多い気がしました。

メニューはスタンダードな中華料理店の物だが、炒め物が多い。

注文前にオススメを聞くと「やっぱりタンメンが良く出るね」と奥さんと主人。というわけでタンメンをいただくことに。「タンメン」なら「タンギョウ」も良いし「ニラレバ」も良いな〜とメニューを見て食欲が湧き出てきます。でも、あくまで「ラーメンレポ」なのでサイドメニューは我慢我慢です。

イチバのRMYK(ラーメン用語解説)
説明しよう!!「タンギョウ」とは「タンメン」「ギョウザ」の組み合わせの事だ。ブルース流れる昭和の時代から続くサラリーマンの週末のゴールデンコンビだ。昨今ではタンメンの某人気店が「タンカラ」(タンメン・唐揚げ)と言う言葉も作って首都圏に浸透した。ちなみに通ぶって「タンギョウ1丁!」と注文しても店員を困らせるだけの事もあるので注意が必要だ。類義語:半チャンラーメン(半炒飯・ラーメンのセット)

これだけ炒め物のメニューが多いと、やはり野菜を炒める「タンメン」が看板メニューなのは当然なのかと想像が膨らみます。

 

嬉しい不意打ち

山内さんの鍋捌きは、もはや芸術とも言える

注文から程なく厨房では野菜を炒める中華鍋の小気味良い音と熱気、それに香ばしい香りが広がります。その鍋さばきはもはや芸術的とも言える領域に達していて見ていて惚れ惚れしてしまいます。

「まぁ、ちょっと食べてみてよ」と、出てきたのはタンメンでなく・・・

ニラレバイタメ!心の声が聞こえていたかな・・。

極上のニラレバ。キクラゲもレバーも大きい!!

「ニラレバ」・・・醤油と胡麻油だけで味付けたと言いますが、レバーは臭みがなくし大きくてとても新鮮!キクラゲも大きくて身が厚くプリプリしています。野菜のシャキッとした食感と油の周り具合、絶妙な炒め加減です。

この日ばかりは本当に取材を忘れて「瓶ビール」を注文してしまいそうになりました。

あまりの美味しさに放心状態で「瓶ビール」を注文しようとするイチバ

 

またしても嬉しい不意打ち

ニラレバイタメの余韻に浸っていると、山内さんは更に鍋を振るいます。

次はタンメンか?んっ???

ちゃ、チャーハン!!!

出てきたのは炒飯!!

時間にして1分半ほど、短時間に高温で手際よく炒められたチャーハンは具材は玉子、チャーシュー、ネギ、筍というシンプルな構成。

米一粒一粒に油が周り、パラパラだけどまとまりがある最高レベルのチャーハンです。

炒飯も炒め物・・・山内店主の技術が光る

それもそのはずです・・・山内さんの炒め技術は半端じゃありません。

参考までに達人の炒め動画をご覧下さい。

具材で特徴的なのは竹の子が入っている事です。スライスされた竹の子が独特なアクセントになり、良い仕事をします。

レバニラ、炒飯、この2品本当にオススメです。

ここまで炒め物の腕を見せられると、炒め技術を要するタンメンへの期待はクライマッスル(最高潮)になります。すでに腹直筋に緊張が走り、姿勢も脊柱起立筋によってピンと伸びます。

 

お待ちかねのタンメン登場

タンメンは東京か横浜が発祥と言われています。戦前からあった説と戦後の横浜「一品香」が作ったと言う説がありますが、真偽の程は不明です。ただ、比較的関東中心で食べられているとは言われています。

通常のラーメンと違い、炒めた野菜とスープを鍋で合わせる事で炒めた香ばしい野菜のエキスがスープにしっかりと溶け込みます。

炒めた野菜とスープを鍋で合わせる。もちろん炒め技術が重要だ。

ここまでの流れで、山内さんの炒め技術の高さ・スープの質の良さが分かったので、その集大成である「タンメン」への期待は究極マッスルに膨らみます。

仕上げに麺が鍋に投入されます。それにより麺にも野菜・スープのエキスが吸われて麺・汁・具の旨味が三位一体となった1杯が完成します。

麺上げは熟年の技「平ざる」で。

麺の湯切りは難しいと言われる「平ざる」(レポ5「ハマモト」参照)で行います。麺が吸い込まれるように平ざるへ集まっていきます。

炒め技術・鍋の中でのスープとの合わせ・平ざるの湯切り・・・次々に出る職人技に一場は見とれてしまいました。

タンメンの完成!!この1杯にどれだけの技術がつまっているんだ??

「タンメン」が完成しました!そして、山内さんから奥さんへ流れるようなリレー。これが長年のコンビプレー。息子さんも、周囲を見ながらサポート。

親子3人の動きは阿吽の呼吸

山内さんから奥さんへの長年のコンビネーション

一つ一つの動きが一日二日で出来るものではない。それは長年の経験から出る動き。

タンメンの野菜・汁・麺のごとく、家族3人の息もピッタリと合っています。

実食

レバニラ、チャーハンを経ていよいよタンメンにご湯麺(対面)。と凍りつくようなギャグの寒さも吹っ飛ぶほど熱々のタンメン。湯気を立てながら着丼です。

やっとたどり着いた「タンメン」

豚骨の強い柱に野菜を炒めた甘香ばしい旨味がガツン効く!

スープを啜ると、入店時に啜った豚骨・煮干し・鰹節の滋味深い極上の旨味に野菜を炒めた甘香ばしい旨味が広がります。正直、ここまでの過程で予想はしていましたが相当なレベルで美味いです。動物系の旨味・節系の魚介の旨味・野菜の旨味が丼の中で1つの極上の旨味を作り出しています。

透明度のあるスープは丼の縁の「宝楽」の文字も見える

は近所の「小松屋製麺」の中細ストレートで、程良い弾力がありリズム良くプツプツと切れます。調理時に鍋で野菜・スープと合わせていてもヘタれない良い麺です。

「小松屋製麺」の中細ストレート麺。

タンメンなどは具の量が多く食べ終わる時間が長くなりがちなので、後半まで伸びずに食べられるこの麺は「宝楽」のタンメンを支えている名役者と思われます。

先程の熟練の技で炒めた野菜が中心になります。白菜はあえて芯に近い部分も使いますが、出来上がった時には柔らかさとシャキっとした心地よい食感が残ります。それにキクラゲと豚バラ肉。麺と汁に合わせてリズム良く一緒に口に入っていきます。この一体感はタンメンならではの魅力ですし、何より後半まで手が止まらないのは1杯としての完成度が高いからだと思います。

今回も気づいたら汁完!!美味いんだから仕方ない。

気づいたら汁完レポ4「好」参照です。食べてみて感じましたが、タンメンはサイドメニューとの相性が抜群ですね。良く言われる餃子だけでなく炒飯とも、レバニラとも喧嘩せずに美味しく食べれます。

 

二人のこと

店主の山内さんにお話をお伺いしました。

もはや「達人」の領域にある炒め技術を持つ山内さん。どんな職人の道を歩んできたのか・・。

山内さんご夫婦は共に函館の出身だそうです。と、言ってもお互いが出会ったのは東京の銀座でした。

山内さんは今年71歳。子供の頃の函館は終戦の名残で中国の方が多くいたので色々な交流がありました。中華料理(特に上海料理)もその一つです。その影響で首都圏では函館出身の中華料理店経営者が多くいたそうです。

そんな環境で育った山内さんは19歳の頃に東京に来ました。まずは浅草の「味福(閉店)」で働いたそうです。ちなみにこちらの経営者は函館出身。その後、同じ系列の銀座「味彩」へ。

その「味彩」で看護師の免許を持ちながら、1年間だけ親戚の下で働いていた奥さんと出会ったそうです。

山内さんの歩んできた道が技術一つ一つを作り出していた

まさに函館が紡いだ縁ですね。よくよく聞くと、全く面識はなかったけど実はお互い実家が割と近くだったりという偶然もあったそうです。

余談ですが、山内さんは故郷の函館のラーメンは覚えていないと言われましたが、実はこちらのスープは函館の老舗名店と作り方と味の方向がそっくりです。やはり、もとになった作り方があるのでしょうか。または、潜在的に覚えていたのでしょうか。

 

そして独立

山内さん夫婦が自分のお店を持たれたのは27歳の頃。千葉県松戸市の常盤平(さくら通り)だそうです。

「オープン当初の思い出といえば、私は看護婦だったでしょ?だから”ありがとうございました”が言えなかったのよね。で、やっと出た言葉が”お大事にどうぞ”なのよ(笑)」と、笑いながら当時のエピソードを語る奥さん。

常盤平では50歳の頃まで鍋を振り、その後、約20年前に船橋の地に移転したそうです。

20年前に「船橋」へ移転しました

 

何故船橋だったの?

船橋という地を選んだ理由を聞くと

「スズキ、フッコだよ」と笑いながら答える山内さん。

鈴木ふく子…って誰?そんなラーメン界の偉人いたか?

筋肉とラーメンで出来たイチバの8bitスーパーコンピューターがピコピコ動きましたが答えは出ず…

奥から出てきた沢山のルアー

「釣りが好きなんだよ。スズキを釣りに船橋に来ていてね。移転するならここにって・・。」

と、さっきまでカメラマンとして気配を消していた“釣りバカ編集長”が背後でピクっと動く気配を感じました。

聞くと今でこそシーバスのルアーフィッシングは全盛ですが、山内さんは40年以上前にボートでシーバス釣りをしていたとのこと。当時は高価だったルアーも、知り合いのつてを頼ってスウェーデンなどから取り寄せていたというのだから筋金入りの釣り好きだと興奮する編集長イヨリ…「あなたもね」と心の中でツッコミを入れたイチバ。

「やっぱラパラなんですね〜、うわ〜ザウルスとかもあるし、これなんか年代物ですね〜、えっジギングもやるんですか?当時のラインはPE?」とイチバにはさっぱりわからない専門用語が飛び交う釣り談義が始まってしまいました。

興奮しながらルアーを見ている編集長

今は中々釣りに行けないんだよ、と少し寂しそうな山内さんでした。

 

函館が繋いだ縁家族の連携の和と言うこのお店を象徴するような麺・野菜・汁三位一体の極上タンメン、本当に美味しかったです!!

本当に惚れ惚れする鍋さばきと極上の味でした!ありがとうございました!

 

マッスルコメント

野菜不足解消で!!!極上タンメン!マッスル!!!

 

中華料理 宝楽

住所/船橋市本町3-6-6

TEL/047-423-6315

営業時間/11:00~19:00

定休日/日曜

↓地図はこちら

 

関連記事