スパイスの魔術師は馬込沢の父!? 「ティランガスパイス」で至高のマトンカレーを食べた!
ナマステ!
天高く馬肥ゆる秋。待ちに待った〝美味しい季節〟の到来ですね。皆さん、最近カレー食べてますかー! 先日発表された9月の記事ランキングでは、なんと「鎌船カレー部」が初ランクイン!!
ありがとうございます(涙)!!!!!!!
そして、さらにうれしいことに、読者の「ねぎさん」からオススメ情報もいただきました。ありがとうございます!
皆さんもオススメ&気になるカレーがありましたら、末尾の「情報提供フォーム」よりお寄せくださいね!
〈情報〉
鎌ヶ谷駅にあった「ティランガスパイス 」のプラウンマサラがとってもおいしかったのですが、気づいたら閉店していました。今はBarになっているようです。新店舗なので、気になってます。
「あぁ本当にこの連載を読んでくださっている方がいるんですね…(涙)」
こちらのバー(BAR PIECE MAIN)は既にイヨリ編集長が取材に行っていて記事になっています。
と同時に、ねぎさん朗報です!
ティランガスパイスは本店が馬込沢にあるとのこと!
これは行くしかありません。そんなわけで記念すべき第4回目は、「ティランガ スパイス」です。
独自のスパイス使いでオリジナルの味を編み出す店主たちと、その極上の一皿を求めて三千里。今日もめくるめくカレーワールドへいざ!
場所
最寄りの東武アーバンパークライン馬込沢駅東口を出て、徒歩12分ほど。住宅街のためとくに目印もなく、途中で「合っているのかな?」と不安に駆られますが大丈夫です。そのまま住宅街を突っ切るべし。※お店の方に伺ったところ、鎌ヶ谷店は移転したのではなく閉店。ティランガスパイスの本店は馬込沢にあったのですね!
店内はテーブル席が24席。オフホワイトとモスグリーンの壁がナチュラルで温かみのある雰囲気。クッションや壁の飾りが差し色になっていて、全体的にまとまりがあってさりげなくお洒落~。
マトンカレーの常識を覆します
カレーは、チキン、マトン、シーフード、ベジタブルと大きく分けて4種。
バターチキンやサグパニール(ほうれん草とチーズのカレー)など、デニスさん出身の北インドの魅力的なメニューが満載です。ここはもちろん、読者の方が「めちゃ美味しかった」というプラウンマサラと、デニスさんイチオシのマトンカレーをいただきます!
「うちのマトンカレーを一度食べたら、よそのはもう食べられないですよー」とデニスさん。期待高まります〜
スパイスを使って新鮮なマトンを長時間煮込むことで、独特の臭みがとれてホロホロの食感に。かといってマトンの野性味が完全にかき消されることもなく、噛めば噛むほどスパイスが染み込んだ肉の旨味を感じます。油や塩味が強すぎず、ベースとなる玉ねぎとトマトの甘みが、カレーにより深みを与えすこぶる美味い! 控えめに言って絶品ですよこれ。マトンが苦手な方にもオススメしたい!!
辛さは控えめ…というか辛くない!?
もちろん辛さは調節可能ですが、まずは「基本の味」を知ることをオススメします。辛さに気をとられることもなく、複雑なスパイス使いの妙とマトンの旨味をダイレクトに楽しめるからです。
ちなみに、一流ホテルでサービスをしていたかつての経験から、お客さんが食べたものや好みは絶対に忘れないというデニスさん。「前回、私は何食べましたっけ?」と逆に聞く人もいるそうです(笑)。来店二度目以降は、好みの辛さに調節してくれますよ。
続いては、オススメ情報にあったプラウンマサラ。ココナッツベースのエビのカレーです。
「あれっ 〝北インド〟なのにココナッツですか!?」
「僕はパンジャーブ(北インド)で生まれ育ったけれど、一族の出身はゴア(南インド)。だからどうしてもココナッツのカレーを出したくて! チキンとエビだけココナッツを入れてるんです」
北インドと南インドのカレーは、使うスパイスや具材、趣が大きく異なります。こってり濃厚な北インドカレーと比べると、南インドは水分が多めでシャバシャバとした感じ。ココナッツミルクを多用するのも特徴ですね。
一口食べると、ベースのトマトのほのかな酸味とスパイス、ココナッツミルクの甘み、エビの出汁が渾然一体となって口中に広がります。幸せとはこういうことを言うのでしょうか〜。また、コクがあって濃厚なのに、後味はスッと切れる爽やかさを持ち合わせます。エビのぷりぷりの食感もいいアクセントに。オススメ情報の通り、確かにめちゃ美味しい。
さらに特筆すべきは、こちらのサフランライスです。
色味が淡いのは、ターメリックを使わずに、純粋にサフランだけで炊き込んであるから。サフランは一般的に高価なスパイスのため、ターメリックで着色したものを「サフランライス」と称して供するお店もありますが、こちらは正真正銘。ぜひ、その上品な香りを直に味わってみてください!
スパイスを知り尽くした男 デニスさん
インドの首都デリーにある老舗最高級ホテル「タージマハールホテル」で、サービススタッフとして約10年働いていたデニスさんが日本に来たのは1995年。きっかけは、知人が都内にインドカレー屋をオープンしたことでした。その後10年ほど同店に就業したのち、スパイスの卸業、インドワインの営業を経て、スパイス商として独立。奥様が船橋出身ということもあり、この地に倉庫を設けます。
ところが2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに、卸先のお客さんがこぞって日本を離れてしまい……。思い切って倉庫を半分改装して、ベテランのインド人シェフを雇い、同年4月にティランガスパイスをオープンさせます。
オープンに際しては、地元の方々の大きな応援がありました。
もともと、商店街や幼稚園など地域の祭りで、特別にカレーを提供していたデニスさん。さすがスパイス商、巧みなスパイス使いで評判が評判を呼び、かねてから「お店を出して欲しい!」という熱い要望も多かったとか。震災後、思うような建材が手に入らない状況でも、地元の大工さんが尽力してくれて何とかオープンすることができました。「みんなのおかげ」とデニスさんは語ります。そんな感謝の気持ちは、至るところに散りばめられています。
白井まで配達に行っちゃう!?
「ある日、80代のおばあちゃんがテイクアウトで来店。この辺りは坂が多いから大変だろうなと思って、それから配達を始めたんです。最初は歩きで、今はバイクに乗っているけどね。他にもネットで調べて初めて電話をくれた白井市のお客さんから配達を頼まれて行ったことも。Googleマップを頼りに行ったけど、田んぼの中を走らされたり、もう大変だった(笑)。でも、お客さんは大切だから断る理由がないでしょ。喜んでもらえればそれでいいの。この間は、引っ越して来たばかりの子連れママに近隣の保育園事情をおしえてあげたよ。知らないと大変だから」※配達エリアはお店に相談してみてくださいね
困っている人がいたら放っておけない。人付き合いをとっても大事にするデニスさん。確かな味とその人柄に惹かれ、常連となった地元客は多く、親とケンカした子供が一人で食べに来たり、開店当初から来ていた子供が大きくなって彼氏や彼女を紹介しに来ることもあるそう! もはや馬込沢の父といっても過言ではないでしょう。
「自分たちが美味しいと思うものを出す」というまっすぐなコンセプト、これは「日本人の舌に合わせるのではなく、インドの味をそのまま伝える」という考えを軸にしているのだそうです。
今年でオープン8年目となるティランガスパイス。毎年4月には、周年記念としてカレー全品半額キャンペーンを開催。「みんなに食べて欲しいけど並んで欲しくない」と、長めの期間を設定しているそうです。どこまでもやさしいデニスさんなのでした。こんなお店、近くに欲しいなぁ。
さぁ、この秋もみんなでナイスカレー!
ティランガスパイス
住所/千葉県船橋市丸山3-3-2
TEL/047-460-9015
営業時間/11:00~14:00、17:00~21:30L.O
定休日/火曜
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