【閉店】谷津駅前の「谷津ラーメン」は大陸の広い心と大和の知識が宿っていた!
追記:この店舗は2019年8月31日に閉店しました。
みなさんお元気していましたか?自称日本一ラーメンを食べているアスリート(自分調べ)こと一場治之進です。
「谷津」と聞くと「谷津干潟」「谷津遊園地」ですね。調べると、昔は「谷津遊園地駅」があったそうです。ここに極上の1杯が食べられる噂を聞いて「谷津駅」を降りました。
第28回はその名も「谷津ラーメン」です。
場所
京成線の谷津駅北口を降りてすぐ右手の左側にあります。まさに超駅前!!駅を利用する人は絶対に知っていそうな立地です。
シンプルな外観からは、かなり硬派な雰囲気があります・・・さて今回はどんな職人さんが出てくるのでしょうか?ドキドキしながら入店です。
店内・メニュー
店内はカウンター5席・テーブル2席×2の合計9席です。厨房は奥まで続いていて、かなり広いです。
デフォのラーメンが¥700-を切っているので、中々良心的な価格設定ですね。この券売機の配置を見ると、「左上の法則(レポ2泰山参照)」に従いデフォの「ラーメン」で間違いなさそうです。
改めて写真を見ると「塩ラーメン」も美味しそうだし、「つけ麺」も捨てがたい・・・イチバの持病である優柔不断の症状が顔を出しますが、ここは初志貫徹で「ラーメン」をオーダー。
調理
オーナーの楊さんにお願いして調理を見学させて頂きました。
厨房には二人、中国人・ベトナム人スタッフが調理を担当します。
説明しよう!!「エンマ棒」とはラーメンのスープを仕込む寸胴の中のガラをかき混ぜる船のオールの様な木べらの事だ!!名前の由来は「閻魔様」の持っている棒に似ているからだ。実は閻魔様の持っているのは「へら」でなく「笏(しゃく)」なのだが、細かい事を言い過ぎると面倒くさいと思われるので知っていてもスルーしよう。ちなみに豚骨スープのお店で「エンマ棒」を使って寸胴内をガコガコかき回しているお店を見ると、高確率で美味い1杯に会えると思うのはイチバだけじゃないだろう。
一連の流れに一切の無駄がなくシンプルな動きを見て経験値の高さを感じました。
実食
「良かったら当店自慢のサイドメニュー“手作り餃子”と“ネギ丼”も試食してください」
なんとオーナーの楊さん(神)のご好意により、「ラーメン」だけでなく餃子とネギ丼をいただけることに!
気を取り直して・・・「ラーメン」は半濁系スープのシンプルなスタイルです。¥700-以下で味玉1個入っているのはコスパ良いです。
スープは豚骨2:鶏1に加えて、魚介をほんのりと言う、鶏豚骨系です。ややトロっとした口当たりで優しい味です。昨今では濃厚=美味いと言う感覚のフリークが増えている中で、「心地良い旨味の度合い」を追求した絶妙な仕上がりですね。かなり試行錯誤した痕跡を感じます。カエシには醤油や昆布だけでなく干し海老を使用しているので、しっかりとコクがあります。
麺は昭和40年創業の老舗であり大手の「三河屋製麺」の中太ストレートで、プリプリとモチモチが同居した食感重視の物です。動物系の半濁スープがしっかりと麺に絡むだけでなく、スープの優しさに合っている食感ですね。この麺のチョイスもGoodです。
具は厚い肩ロースチャーシューに半熟味玉・それに海苔と自家製のメンマです。どれも手作りで、丁寧に作り込んでますね。一つ一つの具材の質が高いと感じました。
1杯を通して、仕事の丁寧さが光ります。力技でなく、全ての素材の相性がしっかりと考えられた跡があります。それだけに、食べ進んでいても後半まで飽きが無く美味しく頂けます。
「スープは無化調にこだわっています。醤油ラーメンのレシピは私が考えたのですが、完成には半年掛かりました。試行錯誤を繰り返して、色々な人に試食して意見をもらって。麺は10種類以上試し、メンマも手作り。これはまさに“正直ラーメン”です(笑)」と、楊さんは汁完のイチバを見ながら笑顔で言います。
あまりに完成度の高い1杯だったので、イチバは券売機に2杯目を購入に走ります・・・
「まだ食べれるならつけ麺もどうぞ」
ハイレベルなつけ麺
塩味の「つけ麺」はジワジワ~と旨味の効いた完全オリジナルで、干し海老をローストしてタレの中に入れています。つけ麺に良くあるドロドロの濃厚系ではなく、あっさり系つけ麺の系統になります。塩分の尖りはなく、旨味がとても強く出ています。低温調理と炙 の2種類のチャーシューや柚子の隠し味も良いです。
あっさり系のつけ麺では珍しいモチモチ食感の平打ち太ストレート麺で合わせていますが、旨味が強いせいか・・・しっかりと合っています。
タレなしでも食べられる自家製の餃子・ネギ丼のレベルも高く、イチバはさすがに大満足です。
お店のこと
オーナーの楊さんにお話をお伺いしました。
楊さんは中国は福建省の中部に位置する莆田市出身で、華僑大学(泉州)時代は日本語学科を専攻していたそうです。通訳などを経て現在は20年程日本に住みながら船橋市内で人材派遣会社を営んでいるそうです。
「私は莆田市の同郷会の会長をやっているんです。同郷の人達が日本で出来る仕事はないか考え、飲食店のモデルケースを作ってみようとラーメン屋を始めました。」
「中華料理店はある程度経験を積んだ料理人を集めるのが大変なんです。でもラーメンはレシピが確立していれば作ることができますから。」
〜でも、そのレシピを作るのにはラーメン屋での修行が必要では?
「私はもともと居酒屋などでアルバイトしていて飲食の経験はありました。でもラーメン屋で働いた経験はなかったので作り方は※”大和麺学校”で教わりました。」
大和麺学校と言えば、香川県の大手製麺機メーカーである「大和製作所」が開校しているラーメン学校。
説明しよう!「大和麺学校」とは香川県の小型製麺機メーカーの大手「大和製作所」が営む麺類の開業支援と指導をする学校の事だ。学校長は会社代表の藤井薫氏。ラーメンだけでなく「蕎麦・うどん・ラーメン」と幅広くサポートするのが特徴。卒業生は2018年4月時点で1627組。卒業生には「潮(淡路町)」「饗 くろ喜(秋葉原)」と言った、無化調ながら店主のセンスによる新しい試みで首都圏のトップランナーになったお店を排出させている。それだけに卒業生は幅広いジャンルのラーメンを出すイメージはある。イチバの中では六大学の一つに数えられると本気で思っている。
「大和麺学校では無化調を推奨していました。“お客様の健康を考える”と言う理念はそこで学んだ事です。もともと私も化学調味料が好きじゃないので共感しました。」
簡単に「無化調」と言いますけど、化学調味料に頼らないと言う事は・・手間もコストも大きくなります。さらに、素材一つ一つを研究しないと味も安定しませんね。
こうして「大和麺学校」を卒業して、楊さんは2018年7月に「谷津ラーメン」をオープンしました。取材した2019年4月現在はまだ創業1年未満のお店と言うことになりますが、この2品の完成度は凄いですね。
「メニュー作りはトコトン追求しました。(人材派遣の)仕事をしながらスタッフに試食してもらいながら毎日研究でしたね。自分が納得出来るように完璧に作らないと気がすまないんですよ(笑)」
ラーメンはもちろん、餃子やネギ丼などのサイドメニューまで一切の妥協を許さない楊さんの姿勢は一口食べればわかります。
あえて席数を減らしても広く取られた厨房は、自分が働きたいと思えるような環境でないとスタッフも気持ちよく働けないからだと言う。こうした働く人への配慮も人材派遣という仕事をしてきた揚さんならではの視点かもしれない。
「ラーメン屋はお店を出してなんぼじゃないんです。いかに続けられるか・・・ここ(谷津ラーメン)を出たスタッフが皆、自分でラーメン屋を出来る様にと考えています。」
こうした楊さんの考え方の根底にあるのは、同郷の人達や働いているスタッフの道筋を作るため。楊さんの戦いは始まったばかり!心から応援したくなるお店でした。
マッスルコメント
元スケルトン選手(夏季日本選手権3位)の経験を活かして・・・VRスケルトンに挑戦マッスル!!!
谷津ラーメン
住所/習志野市谷津5-4-7-102
TEL/047-404-3166
営業時間/11:00~16:00 17:00~22:00
定休日/月曜
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