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2019-08-24

鮮度が違う!大将自ら釣った魚をリーズナブルに味わえる老舗居酒屋「神月」@津田沼

釣り人の特権といえば、旬の魚を鮮度良い状態で食べれること、そして市場にはあまり出回らない魚が食べれることにあります。

かく言う私も釣り馬鹿の一人で、釣れた時にはそんな特権を満喫しています。しかし外で釣り魚を食べる機会はあまりないんですね。そもそも釣り魚を出しているお店自体が少ないので。

しかし先日、「津田沼に“釣り魚”を出してくれる居酒屋がある」という情報を聞きつけた私は、リアクションバイトよろしく早々に取材を申し込みました。お店の名前は「神月(しんげつ)です。

 

場所

JR津田沼駅南口を出て右へ、松屋とローソンの入るビルの横、線路沿いの道をまっすぐ200m程進んだ跨線橋の横にあります。

南口を出て右へ、線路沿いの道をまっすぐ

跨線橋のすぐ横にあります

反対側から。赤い提灯が目印です

「神月」外観

 

店内

店内は奥に細長い作りになっていて、和風のホッと落ち着く雰囲気。カウンター3席、テーブル16席、奥にお座敷8席という構成です。

店内(入り口側から)

店内(真ん中から奥側)

一番奥にお座敷があります

 

メニュー

食事のメニューはホワイトボードより。魚は日替わりで仕入れによって変わります。基本的に毎週日曜に大将は釣りに行き魚を仕入れて(釣って)くるので、月曜日は新ネタが出るのと、釣り仲間が釣れたら持ってくるので、他の日でも新ネタが出ることもあります。魚以外の一品メニューも季節によって仕入れる食材で変わってきます。締めの食事メニューも豊富です。

取材時のメニュー

冷やしトマトの「し」が釣り針に(笑)

食事メニュー1

食事メニュー2

ドリンクメニューはこんな感じ。ビール、サワー、ハイボール、日本酒、焼酎と一通り揃っています。

ドリンクメニュー

ボトルキープの棚が画期的!

 

釣り魚ならではのラインナップ!

ボラ、メイチ鯛、アイゴ、黒鯛、メジナ、ニザ鯛(サンノジ)、皆さんはこの中でどのくらい知ってますか?

スーパーではほとんど見かけない魚ばかりでしょう。これらは磯まわりの浅場にいる魚なので、沖で大量に取れる魚とは違い流通することは少ないんですね。磯釣りする人には、とても身近な魚たちです。

ですが、私が驚いたのはいわゆる外道と言われ、本命ではない魚で、釣れても持ち帰ることはない、ましてや食べたことなどない魚がいくつかいるんですね。

中でもアイゴはその筆頭格!

これがアイゴ(私が釣りました)。上がって来るまでは期待を持たせる強烈な引きがある。

釣れると気分が落ち込む魚の一つです。というのも背びれの棘に強い毒があり、刺されると痛みを伴い真っ赤に腫れ上がるという厄介な魚です。

食してもアンモニア臭がすると言われ、地方では「ションベン」とも呼ばれています。和歌山地方ではアイゴを食べる文化があるそうですが、関東では食卓に上がることは、まずありません。

ちなみに沖縄ではカーエー(ゴマアイゴ)と言う本州のアイゴとは少し種類の違うものが釣りのメインターゲットになっていて、これは食しても美味しいので人気の釣りです。私もいつか沖縄行ったらやってみたいと思っています。

…おっと話が逸れてしまいましたが、そんなアイゴをお店で出している、しかも白子まで・・・!

私が驚きと興奮を隠せずにいると、

「まあ騙されたと思って食べてみなよ。きっとこれからアイゴに対する見方が変わるから」と笑みを浮かべる大将。果たしてそのお味は?

 

実食

お刺身は色々味わいたかったので「おまかせ刺盛」をチョイス。さらに気なる「アイゴの白子」、そして「雑魚の唐揚げ」をお願いしました。

おまかせ刺盛

初めての人には必ずオススメしているというおまかせ刺盛。この日はマグロ、アイゴ、メジナ、メイチ鯛、真蛸、イカというラインナップ。色々食べれてお得ですね〜。

定番のマグロもいい感じ

アイゴの刺身・・・果たして味は如何に!

驚愕!アイゴ、バリヤバイ!

いや〜ちょっとこれは事件ですね。まさかアイゴの刺身がこんなに美味いとは・・・。全く臭みがなく脂がのった上品な白身。次から釣れたら絶対持って帰ります!と言うと

「アイゴも場所によりけりだと思う。うちでは勝山で釣ったのしか出さないんだよね。ここのは全く臭みがないから。あとは締め方もクーラー満タンの氷水に突っ込んで氷締めするから、鮮度もあると思うよ。店で出す以上そこはこだわっている部分だね。」と言う大将。

なるほど、ここで食べた旨さが全てのアイゴに共通ではない訳ですね。確かに食べている餌や場所で魚も変わりますし、何より締め方は非常に重要だと思います。

他のメジナやメイチ鯛、そして真蛸も特筆すべき旨さでした。釣り魚の旨さを改めて実感します。

アイゴの白子

身はうまかったけど、内臓は如何に!

とろけるような食感と滑らかなコク!

これは本当にアイゴの白子なのか?と疑いたくなるほど美味いです。はっきり言って鱈の白子より全然美味い!クリーミーで上品なコク・・・箸が止まりませんでした。

雑魚の唐揚げ

そのままでも、ポン酢につけても

雑魚と侮るなかれ、雑魚ほど美味いんです!

雑魚とは、餌取りなどサイズの小さな魚で釣れても基本持ち帰らない魚たちのこと。しかし私も釣果が乏しい時に持ち帰って食べたことがあるので雑魚の旨さは知っています。サクッと上がった雑魚は身がふわふわで新鮮なことがよくわかります。魚好きはもちろん、そうでない人もきっと一口食べればこう言うでしょう「えっ!雑魚美味いじゃん」

ちなみに大将曰くゴンズイ(ヒレに毒がある夜釣りに欠かせない雑魚)も唐揚げにするとすごく美味しいんだそうです(初耳!)

 

お店のこと

大将の神田さんにお店のことを伺いました。

大将の神田 朗さん

神月は1986年にオープンして33年目になる老舗の居酒屋です。

神田さんは宮城県仙台市出身で小学校3年から津田沼に引っ越してきました。

高校を卒業してスーパーの魚屋に勤めた後、料理の世界へ入ります。都内の割烹や居酒屋など色々なお店で修行をした後で、念願のお店「神月」をオープンしました。

途中42歳の時に憧れだった八丈島に2年ほど移住したこともあり、その間お店はお母さんが切り盛りされていたそうです。お店のメニューに八丈島の郷土料理“島寿司”があるのも納得です。

 

釣り歴40年

料理人として修行していた頃、実家に帰ると釣りが好きだった両親とよく釣りに行っていたそうで、釣り歴はかれこれ40年近くになるという神田さん。

思い出に残る魚を聞くと

「よくぞ聞いてくれました!やっぱりアレだよ」と奥を指差す

奥の座敷に飾ってある魚拓

黒鯛の釣り大会で優勝した賞状

こちらは平成7年に木更津で行われた黒鯛の落とし込み釣り大会で、見事優勝を収めた時の魚拓と賞状。258人が参加したこの大会、風が吹いて参加者のほとんどが釣れなかった厳しい状況下で、終了直前に釣り上げたのが49.6cm、2kgオーバーの見事な黒鯛。思い出に残る1枚だったと当時を振り返る。

座敷の奥には釣竿がいっぱい!

他にも八丈島の堤防で釣り上げた9.2kgのハマフエフキは忘れられない1匹だと言う。なんとこの大物をヘチ竿で釣ってしまったと言うのだからなおビックリ!

色々な釣りをやってきたと言うベテラン釣り師である神田さん。他にも数々の思い出に残る魚たちがいて話は尽きません。この日の取材はいつも以上にロスタイム多めのエキサイトした取材となりました(笑)。

釣り好きの人も、そうでない人も、鮮度抜群の釣り魚を食べに行ってみてはいかがでしょうか?

 

神月

住所/船橋市前原西2-17-10

TEL/047-478-9178

営業時間/平日17:30~23:30 土祝17:30~22:30

定休日/日曜

備考/P無し、喫煙可

↓地図はこちら

 

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