引き継がれる飛魚の魂!師弟の絆が作りだす1杯「あみや」
もう2018年も年末ですね。皆さんはどんな1年でしたか?
自称日本一ラーメンを食べているアスリート(自分調べ)こと一場治之進です。
流行語大賞が平昌五輪カーリングチームの「そだね~」でしたね。同じ冬季五輪競技者としては「左上の法則(レポ2泰山参照)」あたりが来ると思っていたのですが、僅差(自分調べ)だったみたいですね。
さて、今回は船橋市屈指の激戦区「中野木交差点」で営業する「麺処 あみや」に来ました。
この「中野木交差点」、見渡すとラーメン屋ばかりで誘惑が半端ないです(汗)。
場所
最寄り駅はJR総武線の東船橋駅ですが、約800m程離れています。
東船橋駅南口を降りて、ロータリーを真っ直ぐ。
「東船橋駅入口」交差点を左折して進むと「船取線」と呼ばれる県道8号線の「中野木交差点」に当たります。
の交差点に「あみや」はあります。黒い看板が目印です。
この店舗はかつて「清丸」「喜左衛門」と変わり、現在の「あみや」になりました。インターネット上では「喜左衛門」が旧店名と言う情報があるそうですが、実際は無関係だそうです(念の為)
しかし、こうラーメン屋が多いと「中野木交差点」はあと何回来なきゃ行けないのだろうと思う今日この頃。
店内
入口に入ると半アウトドアな席があります。ここだけ屋台風で風情のある雰囲気があります。
床のマットを見ると「飛魚」のロゴが。お店の看板にもありましたが、トレードマークなのでしょうか。
店内はウッド調の温かい雰囲気で、テーブル2席×4・カウンター5席で、先程のエリアのテーブルが2席×2と合計17席になります。
テーブル席の近くには侍JAPAN(野球)のユニフォームが飾ってあります。店主の佐伯さんは野球経験者なのでしょうか。
メニュー
入口付近の券売機とその上メニュー写真を見比べます。大きく分けて魚介×鶏の「あみや」・とんこつ醤油・辛ごまつけめん・の3パターンです。
他には夏季限定の「あさり」が目を引き、「そう言えば最近船橋界隈で貝系増えたなぁ~」と気になります。夏に再訪する楽しみが出来ました。
店主の佐伯さんにオススメを聞くと、やはり「あみやらーめん」ですね。と言われてポチ。
「あみやらーめん」が魚介×鶏ならば、やはり魚介は看板にもあった「アレ」を使っているんですかね。期待と空腹で内外腹斜筋が緊張しマッスル!
調理
魚介のメインは「アレ」・・と言うより※「アゴ」を使います。九州では良く使われる「アゴ」。上品な旨味を出す事で知られていますが、ラーメンには上品過ぎて物足りなくなりがちな印象があります。
説明しよう!「アゴ」とはボクサーにアッパーを喰らう為だけに存在する悲しき運命の顔の一部である・・・・・・と、言う超いい加減な事を書くと編集部に怒られるので・・・気を取り直して・・「アゴ」とは「トビウオ」の事だ。なので、「アゴ出汁」とは「飛魚の出汁」を指す。海上を飛ぶ「トビウオ」は他の魚より脂肪分が少ないと言われ、そのせいか上品かつ1本筋の通った旨味が抽出される。九州では縁起の良い高級食材として良く使われる。
その為、飛魚(アゴ)干しの出汁と飛魚干しを焼いて砕いて粉末にした物を投入する事で飛魚の強い旨味が出ます。
加えて旨味たっぷりの鰹の粉末・・・まさに魚介のマシンガン打線ですね。
それに鶏の旨味を加えて動物系の強さを上品に出しています。茶濁のスープは調理中にも関わらず和テイストな強い香りがします。
正直、この時点でかなり技術的に高い物を感じます。
ちなみに「とんこつ醤油」は大元は同じだそうですが、少しスープをいじっているそうです。
麺の湯切りは「てぼ」(レポ5ハマモト参照)で丁寧に行われます。
さらにチャーシューをバーナーで炙る作業があり、横で見ているイチバの食欲は限界マッスル(MAX)になります。
実食
着丼すると、かなり美味しそうなアロマが漂っています。「うどん」にも似た「和」テイストな甘塩っぱい香りが食欲をそそります。
スープは熱々で香りの印象通り「うどん」にも似た「和」で、表面は分かりやすい旨味の鰹ですが奥に丸く上品な飛魚の旨味が強く効いています。
正直、飛魚の出汁メインとしてはここまで上手く旨味の長所を表現しているお店はほとんどないと断言できる極上スープです。もし、魚介系の苦味や生臭さで苦手になった人がいたら是非食べてもらいたいですね。佐伯さんも「後味」にこだわったと言われる様に、魚介系では珍しい程に潔い後味です。
「実はこのスープで年末1週間程、年越し蕎麦を作るんです」と。こりゃあ年越し蕎麦の最有力候補ですね。「蕎麦」や「うどん」と合わせても違和感がない様な上品な味です。
麺は市川市の「早川製麺」の平打ちの中太ストレートで、やはり「うどん」を思わせるモチモチ食感です。上述の通り、「うどん」にも似た食感の麺だけに「和」テイストのスープとはベストに近い相性だと思います。
具はネギ・若布・海苔に加えて優しい食感の穂先メンマが秀逸です。柔らかくメンマの繊維がハラリと口の中で解ける食感はたまりません。
肩ロースの炙りチャーシューも香ばしさが出て中々ですね。
スープの半端無い美味さに気づけば「汁完」(レポ4好参照)です。
お店のこと
店主の佐伯さんにお話を伺いました。
「麺処 あみや」は2012年創業で、他の方が始めたそうです。そこで働いていた創業者の後輩の方が2014年にお店を引き継ぎ経営を軌道に乗せたとの事です。その方は後々佐伯さんの師匠になる方で、ラーメン経験ゼロだったそうですが、元プロボクサーだったり丸の内ビル内の飲食店で調理長を任されたり和洋中の経験から抜群の料理センスを持ち合わせていたと言う猛者だったそうです。
「師匠はとにかく料理の幅が広くて、パスタだけでも50種類は作れるんじゃないかなぁ~」嬉しそうに話す佐伯さんを見ていると「師匠」への信頼と尊敬が感じられます。
そんな佐伯さんはと言うと、もともと高校球児であり大学の専攻は経営学科だったそうです。
「学生時代は中華料理店でアルバイトをやっていました。単にラーメンが好きな事もあって、都内のお店も食べ歩いている中でもあみやの味が一番好きだったんです。」と語る佐伯さんは船橋市出身で将来は地元船橋でラーメン屋をやってみたいと言う想いがあったと言います。
その後、調理経験がゼロの佐伯さん。「あみや」で修行を希望されて門を叩いたそうです。
「調理経験ゼロだけどラーメン屋やりたいから修行させて下さいってお願いに行ったんです。殴られるんじゃないかって思いましたよ(笑)でも、話すだけ話して殴られて後悔しようって思いました。」と、佐伯さん。笑顔で話されていますが、その情熱を向けられるぐらい「あみや」の味に惚れ込んだんですね。
「師匠には色々聞かれたけど、情熱は伝わったからやってみようって言われたんです。」
佐伯さんの師匠は初対面でも情に厚い方だったんですね。話を聞くと、客にも従業員にも優しい方だったそうです。
そして師匠はかねてからやってみたかった洋食店を西千葉でオープンすることになり、「あみや」は佐伯さんに譲られました。
「最初は自分のお店で勝負したいと思っていましたが、後付かもしれませんが(あみやへの)気持ちは強くなりました。ここに就いて良かったと思っています。たまに師匠は大丈夫か?困っている事ないか?って電話で話します。外の幟(のぼり)も師匠がくれました。正直、僕は人の巡りが良かったと思っています。」
ちなみに余談ですが、「あみや」の店名は特に意味はないらしく創業者の友人が何気なく言った店名が響きがよかったからそのまま採用になったのだとか。でも、この「あみや」の屋号の中にはお店の歴史と共に多くの人の優しさや意味が含まれる様になりました。
激戦区!中野木交差点
最後に激戦区である中野木交差点で営業する大変さについて伺いました。
「よく聞かれるんですが、正直大変だとは思わないんです。それぞれのお店にファンがいて、お客さんも中野木=ラーメン屋が集まっている場所という認識があるので、それは他の場所よりもアドバンテージがあるなと思うんです。他のお店から刺激をもらうこともあるし、切磋琢磨しながら競争というよりも共存している感覚です。正直もっとお店が増えても良いと思ってます。」と語る佐伯さん。
その笑顔から本当にラーメン作りが好きなんだなあという純粋な気持ちが伝わってきました。
受け継がれた飛魚の絆を強く感じた極上の熱い1杯でした!!多くの気持ちと意味が含まれた「あみや」の屋号を心から応援します!!また来ます!!
マッスルコメント
3代続くリレーの様な熱い絆のアゴ出汁ラーメンを食べて・・・・
W完マッスル!!!(※友情出演 日本を代表するフィジーカーで生粋のラーメンフリークのケビン氏:元マッスルマニアヨーロッパ大会 クラッシック部門優勝・フィジーク部門 2位)
麺処 あみや
住所/船橋市東船橋4-19-28
TEL/070-5460-0141
営業時間/11:00~14:30 18:00~22:00
土曜・日曜・祝日 11:00~15:00 18:00~22:00
定休日/木曜
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