中山の歴史ある参道で4代目が作る“アサリの煮込みそば”は唯一無二!「中華料理 忠実堂」
30年以上続いた平成の時代も次の年号に向けてカウントダウンが始まりましたね。
さて突然ですが・・今、イチバは「中山法華経寺」の参道を歩いています・・・Tシャツ1枚で(現在気温6℃)。
地元の人や参拝客にジロジロ見られていても気にしない自称日本一ラーメンを食べているアスリート(自分調べ)こと一場治之進です。
下総中山駅から京成中山駅を抜けて「中山法華経寺」までの直線は平成から昭和へタイムスリップする様な独特な雰囲気です。いや~良い所ですね~美味しそうな老舗の食べ物屋さんが多いし。
第18回は、そんな「中山法華経寺」の参道の歴史と共に歩んだお店の1つ「忠実堂」に来ました。
場所
今回の目当ての「中華料理 忠実堂」は京成線の「京成中山駅」を降りると、すぐ目の前に看板が見えます。ちなみにJR「下総中山駅」と「京成中山駅」は350m程の距離なので、どちらからでも徒歩圏内ですね。
外観は「高級中華料理店」らしい雰囲気があります。「高級」と聞くと緊張して全身の筋肉がコンセントリック収縮をします。つまりは値段と言う筋肉が通じない相手に対して「不穏」になるわけです。
こんなTシャツ着て入ったら怒られそうだな〜と弱気になる一場。
かつて「このTシャツならラーメン屋のドレスコードも大丈夫(レポ:マッスルボーナス参照)」とか調子に乗っていた記憶はありますが・・・
そうこうしているうちに、編集長に促されてお店に入る事に・・・・。
店内・メニュー
店内は4人テーブル×7の28席で、広いです。茶系で統一された内観はシックな雰囲気ですね。
さて、ドキドキのメニューの拝見です。・・・あれ??
メニューは中華料理店らしい一品料理から麺類・前菜などの幅広いラインナップです。麺類のデフォ(基本メニュー)「中華そば」¥700-と言うのは一般的なラーメン屋さんでも平均的な金額ですね。
見た目の印象とは裏腹に、正直かなりリーズナブルです。そうなるとイチバは俄然テンションマッスル(MAX)になります。
店主の石井さんにお伺いした所、「五目系」・「あんかけ系」が出るとの事ですが・・・今回は気になった「船橋」らしい人気の「アサリの煮込みそば」を注文しました。
調理
特別に調理風景を見学させて頂きました。
厨房にはスープ用の寸胴。コンロにはスープを作る調理用の鍋と麺用の鍋が並び、同時進行で作業します。
麺は中華鍋で1分ほど茹でたところで麺を上げます。その後、つけ麺の様に水で締めます。
茹で時間がだいぶ早い印象がありますが、煮込みそばなのでこのあとスープで煮込む時間も考慮してのこと。
「水で締める事で麺の滑りをとるんです」と、石井さんは言います。
スープの調理は油を投入した中華鍋でアサリを炒めた後に鶏ガラ中心の清湯スープを投入し沸騰させながら煮込み続けます。途中、調味料などを投入して味を整えます。
アサリの口が開き、沸騰したスープは泡立ちながら、段々と白濁してきます。もともとは清湯スープだったのでしょうが、沸騰して鶏ガラスープが※乳化する為に白湯になります。
説明しよう!!「乳化」とは普段混ざらない物が混ざる現象・・・ラーメンにおいては一言で言うと水と油が混ざり合いスープが白濁する現象なのだ。細かく言うと、煮込むことで水と油がゼラチン(鶏豚の骨や皮など)により均一に混ざり合う事で白濁する事だ。白く見えるのは光が油や水の粒に当たって様々な方向に反射する為と言われている。もちろん本能で生きているイチバはそんな難しい事は考えないので「乳化=まろやか」「乳化=動物系の出汁のパンチがあり美味い」ぐらいの概念。
煮込まれた白濁スープからは上品でアサリの旨味溢れる香りがほんのりと。
グツグツとアサリがスープで煮込まれる様を見て、イヨリ編集長も「これ、絶対美味いやつだ・・」とポロリ。イチバも思わず頷きます。
厨房で見ていて驚いたのは石井さんの動きです。
麺の茹でから、スープの煮込みまで、中華鍋を見ながら火加減を調整するその動きは全く無駄がなく流れるような作業で見とれてしまいます。
実食
スープは鶏ガラをメインに豚骨・香味野菜でとられたものです。もともとは澄んだ清湯スープなのですが、沸騰させて煮込んでいる為に乳化して白濁の白湯スープに仕上がっています。
鶏ガラは沸騰させて煮込みすぎると鶏の風味が消えてしまうと聞いた事がありますが、「誰だよそんな事言った人は!!(怒)」と言うぐらい鶏の旨味が効いています。むしろ、単なる鶏白湯と言うより泡の様な優しい口当たりのクリーミーな鶏白湯スープに仕上がって、極上ですね。
加えてアサリのエキスがジワジワジワ~と鶏の旨味に入り込んで、完全オリジナルなスープに仕上がっています。一言で言うと、オリジナルかつハイレベルなスープです。
麺は市内の老舗製麺所「山田食品」(レポ番外編:山田食品参照)の中ストレートで、少し柔らかめに茹でられています。と、言ってもデロデロではなくスープにしっかりと馴染むぐらいの柔らかさです。
また、スープでしっかりと煮込まれているので麺の旨味も強く出ています。
「子供の頃、ラーメンをわざと待って麺にスープの味を染みこませて食べるのが好きだったんですよ。このアサリの煮込みそばのアイデアの原点はそこでもあるんです」と言う石井さん。
なるほどやはりオリジナルスタイルですね。
特筆すべきは具のアサリです。
かなり大きなアサリが沢山入っていて、臭みも無くとても新鮮でプリプリ!メインの具としての存在感を出しています。
汁・麺・具の一体感に不自然さはなく、1杯の完成度の高さに驚きました。
ラーメン専門店とは違った形での、とてもハイレベルな1杯でした。
お店のこと
店主の石井さんにお話をお伺いしました。
石井さんは生まれも育ちも中山で三人兄弟の長男。高校卒業と同時に飲食の世界に入りました。
と、言うのも「忠実堂」は石井さんのお店ですが、もともとは石井さんの曽祖父の「石井福松」さんが「福松屋」と言うお店をこの場所に始めたのが始まりだったそうです。曽祖父と言うと、何年前なのでしょうか??(石井さんも創業年はご存知ないそうです)
石井さんの曽祖父の時代と言えば「中山法華経寺」の参道が今よりもっと賑わっていた時代だったのでしょうね。当時は中華料理中心で親子丼・かつ丼などもやっていた所謂、大衆食堂だったそうです。
その後は石井さんの祖父・父へと世代交代をしてきたそうです。
高校卒業後に飲食の道へ。「銀座アスター」から始まり、洋食やイタリアンでも修行を積み・・・紅虎餃子房で有名になった「際コーポレーション」が運営していた初期のお店「陸春坊(等々力)」に。そこでは中華の達人の孫氏とも一緒に仕事をしていたそうです。
「陸春坊では調理スタッフがほとんどが中国人の方で、孫さんをに指導していただいた事は今でも良く覚えています。」
その後は舞浜のシェラトンホテルに勤めます・・・石井さんの経歴凄過ぎです。
実家である「福松屋」に戻り、父と共に「忠実堂」へと店名変更したのは15年程前。お店のコンセプトを伺うと「リーズナブルに食べられる小洒落たお店にしたかったんです。食堂から中華料理専門になる事には不安はありませんでしたね。」
お店はその通りお値段リーズナブルで、おしゃれな雰囲気です。
ちなみに石井さんのお父さん(先代)が一緒に厨房に立っていた頃は、先代が製麺機で打った自家製麺を出していたそうです。食べたかったなぁ~。
「一緒に働くようになって、朝早くから麺を打って仕込みをする父の仕事ぶりを見て、日々の仕事をコツコツ積み重ねて行くことがお客さんの信頼につながるのだなと感じました。」経験豊富な石井さん、その経験の分だけ多くの偉大な先輩の背中を見てきたのですね。
先程の「アサリ煮込みそば」はそれだけの経験が詰まった1杯だったのです。
最後に「忠実堂」の店名の由来をお伺いしました。
「店名の由来は字の通り“忠実”であること。お客さんに対して・仕事に対して・食材に対して忠実でありたいという思いからつけました。おかげさまで多くのお客様に支えられてここまで続けることができました。今後も皆さんに愛されるお店として続けて行けるよう頑張ります」この言葉からも石井さんの真っ直ぐさ・誠実さが伝わってきます。
マッスルコメント
極上の「アサリ煮込みそば」を食べて貧血防止!力強くマッスル牽引ダッシュ!!!
中華料理 忠実堂
住所/船橋市本中山1-15-23
TEL/047-334-4389
営業時間/11:30~14:30(LO) 17:30~20:30(LO)
定休日/水曜
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