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2019-03-10

Re:東中山駅から徒歩1分!魂のホンビノスラーメン「とものもと」

長年スポーツをやっていると、一瞬立ち止まった時に多くの人に支えられていると感じる瞬間があります。

こんにちは!自称日本一ラーメンを食べているアスリート(自分調べ)こと一場治之進です。

ある夜遅く・・・イチバが3軒ハシゴして(もちろんラーメン)某駅を歩いていると・・・不意に「もしかしてイチバハルノシンさんですか??」と声を掛けられたんですね。

一瞬、イチバの8bitスーパーコンピューター(ファミコン並み)がピコピコ記憶を検索しましたが、先程食べたラーメンの画像しか思い出せず・・・

ポカンと口を開けていると、なんと「鎌ケ谷・船橋あたり」の読者さんでした。って言うか、周り暗いし人違いだったらどうするんだろう・・?と本気で心配してしまう今日この頃。でも、そんな読者の皆さんに支えてもらっているのを実感できた嬉しい出来事でした。

さて、第21回のテーマは「支えてくれる人」です。どんなお店なのでしょうか???

 

場所

今回、ご紹介するお店は京成電鉄「東中山駅」にある「とものもと」です。上から読んでも「とものもと」・下から読んでも「とものもと」ですねインパクトのある面白い店名です。

上から読んでも下から読んでも「とものもと」。優しいタッチの字体の暖簾

東中山駅の北口を降りるとバスターミナルがあります。それを右に見ながら坂を直進し、突き当たりを左に歩くと左手にあります。距離にして100m程。大通り沿いでなく住宅が立ち並ぶ中にあるのは珍しいですね。

東中山駅北口を降りて、バスターミナルを横目に坂を上がる

お店は暖簾がなければ何屋さんなんだろう??と言う作りで、住宅地の風景に溶け込んでいます。暖簾の「とものもと」と言う字が何とも優しい感じがしますね。

坂を上がり、突き当りを左に曲がると左側にある

そんな優しく自然体の雰囲気のせいか、引き込まれるようにお店に入ります。

優しい雰囲気の暖簾に引き寄せられて、イチバは抵抗無くお店に入る

 

店内・メニュー

店内はカウンターのみ7席で、どこか懐かしい感じの「和」の雰囲気。決して広い訳ではありませんが席と厨房との距離が近いのが良い感じです。

大手チェーン店にはない「対面」のレイアウトは作り手とお客さんがしっかりと対話できる様に考えられたのでしょうか。この「向き合う」と言う姿勢にイチバの期待マッスルが急上昇中↑↑です。

店内の席はカウンターのみで、厨房と席の距離が近い。

メニューは「醤油」「塩」「白湯つけ麺」「白湯」があるそうです。*「つけ麺」は取材時のH31年2月時点では休止中でした。

ラインナップは「醤油」「塩」「つけ麺」「白湯」

「白湯」は火曜のみ「とものもと」でなく「もとのとも」と言う二毛作営業になり、その時のみの提供(白湯のみの提供)になるそうです。そうなると「醤油」「塩」か・・・・。

「醤油」か「塩」か・・・これは悩む・・・

イチバのRMYK(ラーメン用語解説)
説明しよう!!「二毛作営業」とは昼夜又は曜日で業態や店名を変更して営業する事だ。メリットは文字通り2度美味しい事や同じ場所での営業なので常連は入りやすいと言う事。ラーメン業界においては「せたが屋(世田谷区)」が塩ラーメン専門の「ひるがお」として場所を変えずに昼間のみ名前を変えて営業した事が先駆けと言われる。イチバとしては1店で2度美味しい魅力がある反面、最低でも2回行かなければそのお店に行った事にならないと言う憎らしくも愛らしい悩みの種なのである。

店主の市原さんにお伺いすると「醤油も塩も同じぐらい出ますね。醤油はオーソドックスなTHE醤油を目指して、はここでしか食べられない味を作っています。」通常なら左上の法則レポ2泰山参照)では醤油の所、やはり気になった「塩らーめん」をポチ・・・・・「あっ!間違えて特製塩押しちゃった(棒読み)午前中トレーニングやりすぎたかなぁ~(確信犯)

手が都合よく滑って具沢山「特製」の「塩」をポチポチ!!!

続いて魅惑の「紅孔雀卵かけご飯」をポチしようとした所で、イヨリ編集長に止められました。そうそう・・・ラーメンの記事ですからね。

さすがに2度同じ技は通用しないらしい・・・(残念)

 

調理

店主の市原さんにお願いして調理風景を見学させて頂きました。

スープは1回1回小さな鍋で温める

丼にかえしと香味油を張ります。スープは小さな鍋で1回1回温めます。聞くと、名古屋コーチンを使った鶏スープホンビノス貝を使った貝スープで、醤油はバランス良く・は貝がメインのWスープになるそうです。

スープからは貝特有の「海」の強い香りがする。

名古屋コーチンを使うなんて、かなり高級な素材でドキドキします。それに、ここに来て船橋の名産品でもある「ホンビノス貝」がまた出てきました

「うちは地産地消を目指しているので、船橋のホンビノス貝を使っています。生の状態で配送してもらえるエリアのギリギリなんですよ。」と、市原さん。

茹で上がった麺を湯切りし、スープの入った丼に入れる

遠目に黄金色のスープの中に麺が泳ぐ姿はまさに芸術ですね。そして、一連の流れが丁寧なのが特徴です。

その丁寧さが特に光るのは具材の盛り付けでしょう。「丼に乗せる」だけでなく「丼の上をドレスアップ」する作業はラーメン1杯1杯への強い想いを感じます。

市原さんの盛り付け作業からは、1杯への強い想いが伝わってきます。

 

実食

「特製塩らーめん」の着丼です。

これが「とものもと」の「特製塩らーめん」だ・・・美しい・・。

まずはそのビジュアルの美しさにため息が出ます。一目で市原さんの妥協ないラーメンへの想いが伝わります。隣のイヨリ編集長も「おぉ・・・」と言いながら夢中で写真を撮影します。イチバもその技術レベルの高さに緊張して声が震えがちに。

緊張してなんだかぎこちないイチバ・・・

スープ一口目のファーストインパクト強い海の香りが口いっぱいに広がります。

澄んでいるのにクリーミー、海の潮の香りが口中に広がります。これだけの潮の旨味なのに塩の尖りが皆無なのは凄いですね。鶏は地盤を固める程度で、完全に貝が主役です。昨年約400杯ものラーメンを食べたイチバでも、このレベルはめったに食べれません。それほどまでにレベルの高いスープなのです。

目をつぶると船橋三番瀬の情景が広がる。

「ホンビノス貝は比較的安価なので、その分量を投入できるんです。と言っても、豚骨など他の材料に比べたら高いですけど。やや雑味があるとも言われますが、この雑味もホンビノスならではの味で僕は好きなんですよ。」と、市原さん。

雑味と言うより磯の後味が残りますが、この余韻があるからこそ他の素材では代替の利かない味になっている気がします。

村上朝日製麺の中ストレート麺。

村上朝日製麺中ストレートです。程良い茹で加減でスープもしっかりと吸うので、旨味がギュッとつまったスープとの相性は抜群ですね。

低温調理チャーシュー。ピンク色で肉本来の旨味がギュッと詰まっている

具は肉の旨味がギュッと詰まった低温調理チャーシュー鶏チャーシュー海苔メンマ小松菜ホンビノス貝。特にホンビノス貝はチャーシューにも負けない旨味とスープとの相性による存在感を出しています。

ホンビノス貝の中にアオサも入れている。

書きたい事は多く有りますが、一言で言うと「極上の磯の旨味が凝縮されています!」

箸がレンゲが止まらず、一気に頬張るイチバ・・・まさにホンビノスマジック!!!

もちろん汁完・・・あれ???丼の底に「Re:」と言うロゴが・・。これは???

汁完・・と、思ったら丼の底に「Re:」と言うロゴが・・。

 

お店のこと~修行時代~

醤油らーめんに手を出したい気持ちを押し殺して、店主の市原さんにお話をお伺いしました。

どう見ても只者じゃない市原さん。どんなドラマを語ってくれるのか??

市原さんは地元船橋市出身で、学校卒業後にSE(システムエンジニア)として働いていました。

ラーメンが大好きで、首都圏のラーメン屋を食べ歩くラーメンフリークだったそうで、都心のラーメン屋はほとんど食べたと言います。やがてそのラーメンへの想いは、自分で作りたいという方向へとシフトしていったそうです

やがて本格的にラーメンを学ぶ為に手広く色々なメニューを出している船橋市の「○は」の門を叩いたそうです。・・ん?確か以前取材した京成大久保の「ramen case-K」の店主北里さんも「○は」出身※このエピソードはレポ15をご覧下さい)、聞いてみるとやはり北里さんとは「○は」で2年ぐらい一緒だったそうです。

「○は」での修行は全部で3年程、4店舗回ったそうです。

市原さんのラーメン技術は「麺魚」の橋本イズムが受け継がれている

色々な材料を使うアイデアや、地産地消の考え方も、現在は「麺魚(錦糸町)」を営んでる「○は」創業者の一人でもある「橋本氏」から受け継いだという「橋本さんの下でやっていた人は自分も含めて色々教えてもらいましたね。それは自分にとっても大きかったと思います。ホンビノス貝は修行時代にも限定で作ったことがあったので、お店をやるときには最初から使おうと決めていました。」と語る市原さん。

確かに「麺魚」のラーメンも「鯛」をモチーフにした中では首都圏トップレベルです。そして修行時代から自分の作りたいラーメンのビジョンが見えていたみたいですね。

市原さんの「○は」時代と言えば、こんなエピソードがあります。お店の前でたまたま知り合った小さい子供がアレルギーでラーメンが食べれないと聞いて玉子も抜いた「特製炒飯」を作ってあげてすごく喜ばれたそうです。その子にとって、きっと忘れられない味になったでしょうね。

 

オープン・入院・葛藤

お店を探すに当たっての条件は、地元船橋市の駅前で、一人で全体を見れる狭さ、カウンターのみ、古くて中華そばが似合う雰囲気・・・そんな条件にぴったりだったのが現在の店舗だったそうです。

そして、2015年3月1日に念願のオープン。

「一人でやろう」と走り始めた市原さん・・そして・・・。

「最初はお客さんが来なくて苦労しましたけど、段々と口コミで増えてきました。」

わき目も振らずに走ってきた市原さんの体に異変が出ます。

「一人でとにかく頑張ろうと思って、毎日スープも3種類作って、とやっていたらオープン2ヶ月目に体調を崩して入院してしまったんです。入院中もお店のことが心配で、ラーメンを作りたいと思っていました。もう一度あのお店に立ちたい!そう思いました。お店がなければ僕は死んでいたかもしれません。」

それ程までに市原さんの体調は深刻だったそうです。結果は「成人発症スチル病」という難病と診断され3ヶ月の入院、闘病生活を余儀なくされました。

 

色々な人に応援された

店内には市原さんが入院中に復帰を願って友人や知り合いが持ってきてくれたものが飾られていました。

店内に飾ってある千羽鶴の下には小さな花が。

「千羽鶴は知り合いが、その下の折り紙で作ってあるお花は“○は”時代に特製炒飯を作ってあげた子がわざわざ持ってきてくれたんです。」

券売機上には力強く「勝」の文字が・・。

「”勝”は北海道で会社をやっている中学からの同級生が、わざわざ書いて持って来てくれたんです。習字やってた訳じゃないし、忙しいのに黙って持って来てくれて・・・グッときました。”絶対もう1回ラーメン作ろう!!”って思いました。」

 

Re:に込めた想い

イチバは気になった丼の「Re:」について聞いてみました。

「僕はブログをやっているのですけど、入院中に多くのコメントが来ました。”復帰待ってます””また行きます”そのコメントには”Re:”がついていて、僕は多くの”Re:”に凄い励まされていたんです。またラーメンを作りたいという思いは、待ってくれているお客さんがあってこそでしたから。」

丼のRe:は応援してくれた人々への感謝だった・・。

丼のロゴは「Re:に感謝」という意味を込めて入れたそうです。

Re:には市原さんとお客さんの「愛」が込められていた

 

とものもと

復帰後は奥様も一緒に働いてくれることになりサポートしてくれました。

「入院する前はどうしても調理に集中してしまいお客さんを満足させる接客ができていなかったと思います。でも復帰後は妻が一緒に働いてくれるようになって、僕は調理に集中できるようになったし、お客さんも妻と喋りに来てくれたり。夫婦でやっているとお客さんも来やすいのかなと思います。妻の存在は大きいですね。」と語る市原さん。隣では奥様が照れ臭そうに笑っていました。

 

最後に店名の由来を聞くと

とものもとは店主の名前の「朋」「とも」「源」「もと」

「お店は僕(朋宏さん)の源なんです」と笑顔で話されました。

多くの感謝を胸にRe:START

恒例の店主と一場の2ショット写真は、今回は市原夫妻にお願いしました。

やはりこの丼を持つのはイチバじゃありませんね

市原さん、極上の1杯とドラマありがとうございました!

 

マッスルコメント

市原夫妻から力をもらって・・・100㎏マッスルバーストカール!!!

とものもと

住所/船橋市東中山2-3-2 東中山ビル102

TEL/047-333-5572

営業時間/土曜・日曜・月曜11:00~15:00 水曜・木曜18:30~22:30 火曜(もとのとも)11:30~14:00 18:30~21:30

定休日/金曜

市原さんのブログはこちら

とものもと公式ツイッター

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